当世百鬼夜行絵巻
福音館書店「母の友」8月号では「やっぱり妖怪が好き」という特集が組まれております。
実は「妖怪」という言葉は明治になって作られた学術用語だったというのを、みなさんご存知でしょうか?私はなんとなく知っていました。なぜなら、私の通っていた某三流私大の創設者が「妖怪学」というのを提唱したからです。創設者は井上円了という人です。しかし、妖怪学を提唱したからといって、水木しげるさんのような方を想像してはいけません。むしろ立場的には逆です。井上円了は近代化する日本において、迷信は排除するべきものとみなし、妖怪こそが迷信の最たるものだと、と主張したのです。なんだ、つまんねぇ奴じゃないかと思ってしまいますが、当時は病気になっても原因はキツネの仕業だと、マジで言ってた人もいたわけですからね。キツネじゃないよ、タヌキでもない、栄養をよく取り、衛生面に十分気をつけることこそが肝心じゃ、と蒙を啓いたことは、良いことであります。で、私は読み物のページで、6ページにわたり、「当世百鬼夜行絵巻」なるものを描いています。
「ここは、とある町外れの空き地。時刻は草木も眠る丑三つ時。乱暴にうち捨てられたモノたちが、不思議な力で妖怪になり、人間たちに復讐しようと行進を始めました……。」
日本の妖怪の百鬼夜行に欠かせないのは、付喪神ですよね。古道具の化け物です。作られてから百年経つと道具は妖怪に化けるらしいです。え?このギター、ビンテージ?なんて突っ込まないでくださいね。そこは当世流のゴミにしないといけないので。当世百鬼夜行に欠かせないのは、ビニール傘ですよ。これはもう絶対に外せない。骨がひん曲がって、妖怪みたいになった傘が捨ててあるでしょ?携帯電話ってのも、機種がどんどん変えられて、捨てられて、十分付喪神になる資格があります。しかし、そんな殺伐とした妖怪の世界にも小さな愛の世界があるかもしれない。別れても好きな人。ものだけじゃないんですよ、ペットも捨ててはいけません。最後まで責任を持って飼おう。でも、亀にとっては狭い水槽の中で一生を終えるより、池に放たれた方が幸せなのかもしれないですね。ミドリガメが幅をきかせすぎて、イシガメやクサガメが追いやられている現状が心配です。だってイシガメやクサガメって可愛いんだもん。日本の妖怪の造形が可愛いというのと通じるところがあるでしょうか。
追伸
【オトナの一休さん3本連続再放送のお知らせ】
7月2日(土)Eテレ 午後2:00〜2:15(3本連続)
7月10日(日)Eテレ 午前1:45〜2:00(3本連続)※9日(土)深夜