役に立つ芸術
「芸術新潮」で連載中の藤田一人さんの「わたし一人の美術時評」先月は「役に立つ芸術」というテーマでした。社会における芸術の意味を問いただしているとてもおもしろい内容でした。最近は現代美術が全国各地の文化的地域振興のアイテムになっています。文化庁が後押ししている漫画やアニメの海外発信もそう。しかし芸術はそんなもんだっけ?デュシャンやウォーホールやダミアン・ハーストは何故あんな作品を作ったのか?コラムには「”役に立つ”ことと”必要である”ことは微妙に違う。実利性と必然性の違いと言ったらいいだろうか。少なくとも近代以降、芸術なるものの価値は後者に重きが置かれてきたはずだが。」と書かれてありました。このコラムを読んで、前に雑誌で森村泰昌さんが紹介していた赤瀬川原平さんの文章「この間友人と話をしていて、かつて芸術といわれていたものがいまはアートといわれているが、このアートの内実はじつはデザインなのだという結論になり、自分自身納得した」というのを思い出しました。
で、芸術家ではないけどイラストレーターの私はこのコラムになんとか挿絵をつけなければいけません。こういう重みのあるテーマはこちらもその本質にせまりたいところでしたが、即物的に役に立つというところに逃げてしまいました。「ジャコメッティの帽子掛け」はお役に立ちますでしょうか。このコラムでは題字も担当しております。