伊野孝行のブログ

ちくちく…正直は美徳なり

「サザエさん」って本当いつ見ても最高!あ、もちろん漫画の方ね。今月号の芸術新潮は『こんなに凄かった!長谷川町子と「サザエさん」』特集で、長谷川町子てどんな人だったかがなんとなくわかるけど、町子さん、なかなか怖そうです。へぇ〜、と思うこと多々あり。これは買って読むしかないでしょう。

さて、それはさておき、芸術新潮を買うとオマケで付いてくる(?)連載「ちくちく美術部」はお読みいただいているでしょうか。FullSizeRender 6
この連載も16回目。今月号では群馬県立館林美術館の『再発見!ニッポンの立体』をマンガで展評しております。
展覧会の感想を言う場合、あえて大きく二つに分けるなら、作家や作品の感想を言うのと、展覧会の企画、見せ方の感想を言うのがあると思います。以前、東京国立博物館で開かれた『黒田清輝 日本近代絵画の巨匠』を取り上げて(第13回)、黒田清輝をめちゃくちゃクサしたんですけど、展覧会自体は良い……ていうか、ちゃんとしてました。黒田清輝の人と作品や時代がよく分かるナイスな展覧会でした。
ところが今回の『再発見!ニッポンの立体』は展覧会としてどうなのかなぁ……っていう。我々は外国人の設定でニッポンの立体を発見しに来たという体です。ま、詳しくは芸術新潮で。FullSizeRender 5というわけで、今週は展覧会の企画や見せ方に注目して「ちくちく美術部」の過去の部活動を少し振り返り、あ、こんな連載やってんだな、と知らしめるためのブログでございます。
東京都現代美術館の『オノ・ヨーコ 私の窓から』(第10回)も、惜しかったネ。すべての人に革命を呼びかけるオノ・ヨーコのユニークさを伝えるためにも、美術館にはシェフとしてあとひと仕事かふた仕事して欲しかった……という意味で美術館をレストランに見立ててそこに行くという趣向。FullSizeRender 4FullSizeRender 3
世田谷文学館の『浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる』(第11回)は浦沢マンガのパロディで。FullSizeRender
え?お前ら何様だって?……はい、芸人くずれ(とに〜氏)とポンチ絵描き(わたし)でございます。でもさ、「美術館の広報かよ!」って突っ込みたくなる展覧会の記事なんて、読んでてまーったく面白くないじゃん。自分がどう思ったか、正直に書くのが面白いんじゃん。正直こそ我々に出来る唯一の美徳でございます。
だから、ちくちくの名折れではあるけど、褒める時は褒めますよ。だっていい展覧会を観た時ってこっちも嬉しいもん。
東京藝術大学美術館の『ダブル・インパクト 明治ニッポンの美』(第3回)は規模は小さかったけど良かった。会場がもっと広くて、作品ももっと集められたら……っていう希望もあるけど、展覧会を実際に作る人たちは限られた予算や、制約の中でやっておられるわけだから、あまり求めるのは悪いのでありますが、それでもちゃんとした展覧会でした。荒波に揉まれる明治美術を双六風に描きました。IMG_1973
平塚市美術館の『画家の詩、詩人の絵   絵は詩のごとく、詩は絵のごとく』(第7回)これもすごく良かった。美術館の解説プレート読んでると、言葉で絵を説明する虚しさをしばしば感じることがありますが、それがない。なぜなら……FullSizeRender 2
担当編集者のR氏と相方のアートテラーのとに〜氏と3人で展覧会を見た後に、あーだこーだ、感想を言い合うわけですが、この時間が楽しいです。(ここで、あんまり盛り上がらないと、では、次の候補の展覧会を見に行くことになる)で、意見が出揃った後、その場で私はだいたいのラフスケッチを考えます。で、家に帰って、ちゃんとしたラフに起こして、自分のセリフを考える。ラフの絵を見てとに〜さんも自分のセリフを考える。編集者の赤字が入る、もう一度練り直す。タイトルや展覧会の概要は編集者のお仕事。それでネームがまとまったら、デザイナーに文字を流し込んでもらう。ふきだしの大きさや絵の位置など調整して本番の作画に進む。ちなみに明らかに私の方が作業量が多いのだが、とに氏〜と私は同じギャラです(泣)。
フキダシの中のセリフだけが感想ではなくて、マンガ展評なので、絵もまた一つの感想だと思って描いている、つもりです。