伊野孝行のブログ

住居兼喫茶店2軒

ウチの最寄の下高井戸駅の近くに「ぽえむ」という喫茶店があり、しょっちゅう利用しています。

かつては植草甚一さんもよく訪れていたとか 。

で、ウチの家の近くにもう一つ「ギャルリ・ド・ぽえむ」という喫茶店があります。「ギャルリ・ド・ぽえむ」は全国にある「ぽえむ」チェーンのオーナーの住居兼店舗らしいのです。そして名前からするとギャラリーにもなっているみたい。

しかし「ギャルリ・ド・ぽえむ」は住宅街の中の一軒家でした。看板こそ出ていますが、入るにはなかなか勇気がいります。なにしろこの町に住んで八年、私は毎日「ギャルリ・ド・ぽえむ」の前を素通りしていたのです。
はじめて行ったのは去年の夏でした。ちょうど「ぽえむ」で童心社のNさんと打ち合わせをした日のことです。Nさんは「私、ギャルリ・ド・ぽえむで知り合いの作家さんが展示をやっているので、そっちも見てから帰ります」というので、「この機会を逃したら、永遠に行かないかもしれない……」と思った私は、連れて行ってもらうことにしました。ついに入店する日が来たのです!
……で、実際行ったら、とてもいい感じのお店だったんですが(特にオチはなし)、その日たまたま、くもん出版のHさんという、とても品のいいおじさまがいらっしゃいました。しかもHさんは下高井戸在住の方でした。HさんとNさんはお知り合いということで、私もついでにご紹介していただきました。
その後、折に触れ「くもん出版から仕事よ来い〜来い〜」と念じておりましたところ、今年の春頃、運良くHさんから仕事がきました。ラッキー!
今日はその本の紹介です。鳴海風さんの「円周率の謎を追う 江戸の天才数学者・関孝和の挑戦」という本です。ブックデザインは中島かほるさん。img_2209img_2210img_2213%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%91%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%92%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%93%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%94%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%95%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%96%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%97%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%98%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%99%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%91%ef%bc%90%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%91%ef%bc%91%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%91%ef%bc%92%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%91%ef%bc%93%e6%8c%bf%e7%b5%b5%ef%bc%91%ef%bc%94「ギャルリ・ド・ぽえむ」の脇に細い道があります。暗渠で、ちゃんとした通りというよりは、いわば抜け道です。ものの数十歩も歩くと、「fischiff KÜCHE」と書かれた木の看板が立っています。
実はここも住居兼喫茶店(2階を見上げるとしばしばベランダに洗濯物が干してあります)なのでした。下高井戸の入りにくいお店その2です。店の名前はドイツ語の造語らしく、読み方がわかりません。店主に尋ねると「フィシッフ キュッヒェ」と発音するらしいです。覚えにくい……。この時点で入店へのハードルが高くなっています。
「いや〜暇ですよ、今日のお客は伊野さんがはじめて」とか「開店当初(今年の1月にオープンした)は友達も予約を入れてくれたけど、最近減ってるし」とか、ハードルを上げておきながら、ぼやいている店主は、かつて新潮社装幀室にいたデザイナーの二宮大輔さんであります。彼はフリーになってから仁木順平という名前でやっています。ややこしなぁ〜。
お店の名前も読めない上に、お店のホームページの地図が、初めて訪れる人には大変わかりにくく、だいたいそのホームページがドイツ語で(日本語は必要最低限しかない)さらにわかりにくいのです。ますますややこしいなぁ〜。index
「なんで仁木順平っていう名前にしたの?」と聞くと
「安部公房の『砂の女』の主人公の名前なんです。その男は行方不明になってしまうのです」と仁木順平は答えました。
つまり、この男はワザとわかりにくくして楽しんでいるフシがあるのです。そんな下高井戸ミステリーを味わいたい方は、勇気を出して行ってみてください。ホームページで営業日を確かめてからね(営業日を確かめるだけでも、まずドイツ語、その下に英語で書いてあって、見てるとだんだんムカついてくるんですけど〜)。
ドイツワッフルとスパゲティがおすすめです。お酒も安く飲めます。何人かで予約するとコース料理も出してくれます。
あ、そうだ。お店に行ったら「fischiff 」の名前の由来を店主に聞いてみてくださいね。結構いい話が聞けますよ。