伊野孝行のブログ

衰退していく町

11月号の「芸術新潮」(もう、書店にはならんでません、すみません)の藤田一人さん「わたし一人の美術時評」はとてもおもしろいテーマだった。タイトルは「建築家は衰退していく町をつくれるか」。ちょうど森美術館でやっていた「メタボリズムの未来都市展」がとりあげられていた。「”メタボリズム”とは”新陳代謝”の意味で、建築や都市が生命体のように成長し、変化を遂げていく有機的構造を有するべきだという思想」「その象徴的建築の一つが、いまも銀座に健在の黒川紀章設計による中銀タワーカプセルビル」…しかし皮肉なことに組み替え自在であったユニット(部屋)も一度も取り替えられることもなく、老朽化と建て替え問題に直面している。皮肉な話である。いま日本は衰退期にある。「穏やかに美しく衰退していける町を如何にイメージし、創ることが出来るかだ。」うーむ、すごい提案だ。黒川紀章とカプセルタワービルで描きました。他のラフはこんな感じ。A案はメタボな建築家が…。B案は衰退していっている人の住居。C案は次なる世界への入り口のついた家。E案は一足先に衰退したユーレイ族の今の住居。毎回、難しいですね、この連載は。