やったぜ!たけちゃん3
新潮社から3カ月連続刊行されるビートたけしさんの『たけしの面白科学者図鑑』、シリーズ第3弾『人間が一番の神秘だ!』のカバーを描きました。4月1日発売です。ついにこのシリーズも完結です。さっそく、カバーと他のアナザーバージョンのラフをご覧ください。最後のアイデアがいいんじゃないかということで、もうひとひねりして、人類の進化コマネチにしてみました。ご覧のように、この時点ではコマネチポーズはみんな同じだったのですが、「人類の進化に合わせて、コマネチポーズもコマ送りにしてはどうか?」という提案が新潮社からありました。そして、コマ送りがわかりやすいように編集部のエラい人がコマネチを決めている連続写真が、資料として一緒に送られてきました。楽しい……。こんなことをされると自然に微笑みがあふれ、ガンバロ〜!という気になります。さすが仕事が丁寧な新潮社です。
なお、この編集部のエラい人(気を使って私の方で顔を隠しておりますが)はまだそんなにエラくない時に、本の宣伝でスーパージョッキーの熱湯コマーシャルに出た経験がおありだとか。その本(ムック)は1999年に出た『新潮45別冊2月号コマネチ!ビートたけし全記録』であります。私も発売時に買い、熟読したものです。こちらが原画。実際のカバーではバックの色が少しハデ目になっています。
先日、3月26日放送の『TVタックル』でたけしさんが本を宣伝するという情報を聞き、テレビの前で待ち構えていました。短い時間でしたので、特にカバーの絵については何も触れていませんでしたが、ま、たけしファンにとっては記念すべき出来事でございました。殿のお顔の下に私の名前もちゃんと入っております。これもファンにとっては記念であります。
さて、自慢話はこの辺にして、内容の方にも触れてみたいのですが、3巻のラストを締めくくる対談のお相手が、西江雅之先生という方でした。私は本当に無知蒙昧な人間で、西江先生を今まで存じ上げなかったのですが、めっちゃオモロイ先生なんですよ!いいお顔ですね〜。西江先生は子どもの頃から変わってます。野球とか普通の子が夢中になるようなことには興味がなく、そのへんにいる虫や生き物を捕まえて食べていたらしいです。そのへんの生き物を食べちゃうのは、大人になって文化人類学のフィールドワークのために未開地に入っていくときもやっています。そのせいでお腹こわさないんだって。
〈人間は、生活のあり方に絶対的な根拠がない動物なので、時代ごとに、地域ごとに、次々に根拠を作り、そして作り替えていく。しかし、今や、「人類の根拠」なるものを作りはじめている。世界中の人間が、たった「一つの文化」という物語を信じはじめている〉
対談のラストで、西江先生はこうおっしゃいます。ここだけ聞くと、「まぁ、そうだよなぁ、それぞれの文化を大切にしないとなぁ」と思うでしょう。その時頭に何が浮かんでいますか?着物を着た生活ですか?ご近所同士の醤油や味噌の貸し借りでしょうか?はたまたブッシュマンのような狩猟採集民の生活でしょうか?
甘いですね。西尾先生が話してくれる世界の多様性は私たちの想像を超えています!「母乳の代わりに精液を飲ませる文化」とか「親父が息子と出会った時に、挨拶代わりに息子のポコチンを握る文化(息子の息子だから孫を握ることになる、とか言って二人で爆笑しています)」とかね。もっといろんなことが対談で話されています。
西尾先生のプロフィールに「エッセイの名手としても知られる」と書いてあって、すっかりファンになった私はさっそく先生の本を注文しちゃいました。ただ、残念なことに先生は2015年に77歳でお亡くなりになったようです。
しかし、本が次の本を紹介してくれました。いや〜読書って素晴らしいですね。ぜひ『たけしの面白科学者図鑑』シリーズを買いましょう!