貴重永久保存版
発売してずいぶん時間がたってしまったが、今月の「芸術新潮」は古事記特集。「貴重永久保存版」と表紙に書いてある。芸新の創刊750号記念であり、古事記が編纂されて今年で1300年でもあるという。……といった節目のこの号に古事記の場面をたくさん描いた。私の描いたコーナーは「ユルわかり古事記」という古事記のダイジェスト絵本みたいになっている。イザナキとイザナミが矛で下界をかき回して日本の国をつくっているところ。今回「古事記」をはじめて読んだが(ヤマタノオロチも因幡の白ウサギも古事記の話だったんだね…)荒唐無稽でとてもおもしろかった。でもデタラメにつくれば荒唐無稽なおもしろさになるわけではない。だいたいメチャクチャなものを作ろうと思っても、「出来の悪いフツウ」にいなってしまうのがオチだが、古事記の話はヌケがいい。うまく出来た話だと感心した。とくにいにしえの神々たちの話が痛快で、だんだん時代が下ってくると大陸からの儒教の影響があらわれ、荒唐無稽にすこし歯止めがかかるのが少し惜しい。昔の人はこれらの話を楽しんで聞いてたんだろう。僕は三浦祐之先生の口語訳で読んだのだがみなさんもよかったらどうぞ。アマテラスとスサノヲ勝ったのはどっち?暴れん坊スサノヲ英雄になる。オホクニヌシは皮をひんむかれたウサギを助ける。「鶴の恩返し」にもあるように「見ないで〜」の部屋は必ず覗かれる。神武天皇の弓にとまっているのはヤタガラスでなぜか今はサッカーの日本代表のシンボルマーク。眼の弱い御子マヨワは縁の下で遊んでいるととんでもないことを聞いてしまう。おっとなぜ、ダチョウ倶楽部のような人達がでてくるのか?古事記の絵は全部で16点くらい描いたけど、全部載せるのも面倒なのでこのへんで…。是非この際、古事記の入り口として「貴重永久保存版」の今月号をお買い求めになってはいかが?