夢をかなえた白熊
「小説現代」で読み切りの短編小説に挿し絵を描きました。荒山徹さんの「長州シックス 夢をかなえた白熊」です。長州シックスとは、幕末期に長州藩からロンドンに留学した、井上聞多、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔、野村弥吉の長州五傑(長州ファイブ)に実はもうひとりいた、という設定であります。それがシロクマさん?……扉絵は読者を小説に誘い込む役目、一体どんな話なの!?と思わせることも仕事です。ちなみにシロクマを描いて欲しいというのは荒山さんからのリクエストでした。荒山徹さんの小説ははじめて読んだのですがとてもおもしろかったです。フー・マンチューという中国人の怪人がでて来るのですが、このフー・マンチューも調べてみるとイギリスの作家サックス・ローマーという人が創造した架空の悪人のようです。こうした物語の作りかたや遊びに山田風太郎を思い出し、がぜん、楽しく読みました。昔の探偵小説の挿し絵のような絵にしたいなぁと思い、ふだんはあまりつかわないオイルパステルなんぞを使ってみました。小説によってこちらの絵も変化をうける、これもまた挿し絵の楽しいところです。