伊野孝行のブログ

仕事の半分は

去年に出た本ですが、立川談志楼さん「談志が死んだ」(新潮社/装丁 田中愛子さん)福井栄一さん「上方学」(朝日文庫/装丁 桂川潤さん)のカバーを描きました。この2つの仕事に共通していたことは、「談志が死んだ」では編集者に、「上方学」では著者にカバーのイメージがハッキリとあり、僕の作業はただ絵におこすだけで良かったということです。「談志が死んだ」は談志が愛飲してたスコッチウィスキー「J&B」に戒名「立川雲黒斎家元勝手居士」の千社札を貼り、「J&B」を立川談志のイニシャル「T&D」に変えて、家紋を入れる。「上方学」は奈良の大仏、京都の舞妓さん、大阪のきつねうどんをそれぞれ描く。「立川雲黒斎家元勝手居士」の文字はデザイナーの田中愛子さんにそれっぽいフォントで出してもらってなぞりました。田中さんは「今回は、伊野さんのいつもの持ち味を活かせなくてすみません」というようなことをおっしゃってくれましたが、そんなことありません。内心、「ラッキー!」と思ってました。なぜってアイデアを考える必要がないから。楽チン!そう思うと、僕に限らずイラストレーターの仕事は、半分はアイデアを絞り出すことですね。頭脳労働です。いや、イラストレーションに限らず、絵はすべてそうか。