ウィーンの旅、その3
外国に行って絵ばかり見るのもいいけど、なんといってもここは音楽の都、ウィーン。
◯押し売りに負ける
「カールス教会」へ行く。イスラムのミナレットのような塔が二つあるバロック建築。塔にはねじれた模様がついている。教会の前で待ちかまえていた美女(ミラさん。スペイン人。チケットエージェンシーの仕事)に「ウィーン楽友協会」でのモーツアルトコンサートのチケットを買わされる。このコンサートはモーツァルト時代の扮装をした楽士がモーツァルトの曲を演奏するもの。モロ100%観光客向け。といってもけっこう高額。旅の引率者Kさんが「楽友協会」の建物の内部の「黄金のホール」を見たいというのもあり、押し売りに負ける。次の日に観に行ったら日本人中国人韓国人近隣諸国の人達…観光客のみなさん全員集合〜!美術館は歩きながら見るから眠くならないが、座って音楽を聴いてるとつい睡魔に襲われる。スゴく必死なスペイン美人のミラさんの勧誘をうける一行。ぼくらは「どうするのかな〜?」と静観してたらミラさんは我々をさして「クワイエットチルドレン(静かな子どもたち)〜!」と言っていた。あきらかに僕はミラさんより年上なのだが…。これはウィキペディアから持ってきた写真だが、ここが「黄金のホール」だ。ここにいる紳士淑女を、全員普段着の観光客におきかえて、楽士を3分の1に減らしてモーツアルトの扮装をして演奏しているところを想像してください。
◯これが本場のオペラだ!
カジュアルな演奏会だけでなくちゃんとしたのも観ましたよ。国立オペラ座。幕はホックニーの絵であった。いろんなアーチストが毎年担当しているらしい。「ロミオとジュリエット」。3大テノールのプラシド・ドミンゴが演出&指揮。フランス語のオペラなので前の席の背についたモニターで英語訳が出る。ま、英語もわからんのでよく見なかったが。演出は「ウェストサイドストーリー」のような現代劇になっていた。歌い手は倒れた姿勢でもガンガンに歌う。舞台から伝わる圧力がスゴい。ブ厚い。それを包み込むオペラ座の重厚な空間。終わったあとの客席の歓声がまたすごい。ロックコンサートとはちがう感じ。後ろの立ち見席のハゲの小男の八百屋のおやじみたいなおじさんが感激してブラボーを叫んでいた。ブラボータイムがまた長い!そんでもって最初から最後まで暑い〜!ジャケットを着ていったが結局脱いで、さらにシャツの第3ボタンまであけて、汗をだらだらかきながら見た。でもオペラ好きの観客たちは暑さなんてぜんぜん気にしてなくて舞台に集中していた。◯倍返しのチャンス到来
「カールス教会」でも高所恐怖症ということでてっぺんまでのぼらなかったKさんだが、ウィーンのシンボル「シュテファン寺院」ではついエレベーターで登ってしまった(高さは100メートルくらいある?)。いつものアグレッシブな性格もどこへやら、心細そうに金網にしがみついていらしたので、いつもの「倍返し」でちょっかいを出そうとしたが、地上に降りたら「百倍返し」されると怖いのでやめた。◯食事
どこもおいしいけど、アルベルティーナの下の居酒屋「アウグスティーナケラー」が素晴らしい。ガイドブックにも載ってるお店だけど、味良し、サービス良し、雰囲気良し。旅行中2回行った。ここにはアコーディオン弾きがいて、彼の知ってる日本の歌「さくらさくら」を弾いてくれた。「さあ、歌いましょう」と言うので、つい乗り気になって歌おうとおもったが恥ずかしかったので、歌うフリをして口だけパクパクあけていたら、それをみたウェイターのおじさんが「彼はクレイジーだね」と言っていた。ウィーンの旅、終わり。