ひたすら御朱印帳
土日月とまた京都へ行ってきました。まず第1の用事は、老舗の表具屋、八木米寿堂さんへ絵を届けに行くこと。掛け軸3本と絵巻物1巻にしてもらいます。この絵は11月に酬恩庵・一休寺で「祖師と肖像」と題した展示で飾られます。JR東海の方も取材に来られ、いずれ「そうだ京都、行こう。」の記事として発表されるとのこと。
つまりこの秋は、大徳寺・真珠庵と、酬恩庵・一休寺の二箇所で展示があるということです。こんなことは私の人生の中で最初にして最後のことでしょう。
第2の用事は公開中の大徳寺・真珠庵に行って、御朱印帳にサインと絵を入れること。用事が終われば、あとは楽しい宴会…ということで今回も色々お世話になりました。
襖絵を描いてる時は何も考えていなかったのですが、歴史ある京都のお寺に絵を描くということの意味を、描き終わってからしみじみ味わっているところでございます。
真珠庵は土日になると1日500人くらい拝観のお客様がいらっしゃるようで、東京で個展をやってもそんなたくさんのお客さんに見てもらえません。他の襖絵絵師の方々のおかげ、そして建物自体が重要文化財の大徳寺・真珠庵のおかげ、物販制作会社、広報担当会社のおかげ、特別公開限定スタッフのおばさまたちのおかげ、そしてご住職ならびに心意気お手伝いの皆さまのおかげ……ざっとあげてもこれだけの「おかげ」があります。
(ひたすら御朱印を書く和尚さま)
(手に資料を持っているのは襖絵を解説してくれてるスタッフの方)
それと、京都の地元の人たちの間にスルッと入れるラッキーさ。特別公開中の真珠庵には和尚さまを慕って集まる人も大勢いらっしゃいます。今日はあの人、明日はこの人。もともとお寺の醍醐味とはそういうところなのかもしれません。集まる人の職業も本当にいろいろで面白い。そんな時に、自分のことを一から説明しなくてもいいじゃないですか。「襖絵を描かせてもらってる伊野と申します」と言えば通じるんだから。
せっかく泊まらせてもらったのに、早起きできなくて、お庭掃除が手伝えなかったりで、一宿三飯お酒つきの恩返しもなかなかできず、ヤバいなーと焦りました。ですから、ひたすら御朱印帳にサインと絵を入れて来ました。50冊くらいは描けたかな?
京都のお寺に絵を描く意味の、意味が何を意味するかは、きっと自分次第でありますね。
(お邪魔した時はちょうど和尚さまのお誕生日でしたので、二つ折り色紙に絵を描いてプレゼントしました)