伊野孝行のブログ

世界満腹食べ歩き

今月の小説現代(4月号、下谷二助さんの表紙がスゴい!)から新しくはじまった岡崎大五さんの「世界満腹食べ歩き」に絵を描いています。第一回目は岡崎さんがキューバに行ったときのおはなし。「カストロ存命中にキューバに行くべし」は海外旅行マニアのあいだで数年前からささやかれていたフレーズであるという。いまや地球でのこり少ない社会主義国のキューバへの旅。扉の絵では、キューバの街の雰囲気を伝えたかった。そうするとどうしても〈いわゆるキューバのイメージ〉を合成することにもなる。でも新鮮な絵にしたい。このあたりのコントロールを考えねばならぬ。旅のときの写真をかりるために、担当さんを通じて岡崎大五さんと連絡をとったが、岡崎さんのお人柄にすっかり気を良くしてしまった。連載のはじまりはいつも、うまくいくかどうか不安だ。岡崎さんはぼくのブログの茂田井武の記事を読んでくれたようで、茂田井のことをメールに書いてくださった。茂田井のことを好きな人、というだけで太い精神的なつながりを勝手にいだいてしまう。

茂田井がシベリア急行でパリに向かったこと。日本人倶楽部で皿洗いをしていたときの金子光晴との交流。藤田嗣治とも交流があったと岡崎さんは見ている。連載中にはシベリヤ鉄道にのって、エッセーに書きたい、連載の人気が出たら、取材費をねん出してもらっていっしょに行きましょう、なんて書いてくださるから、気持ちが躍った。