興福寺と大徳寺の番組
去る4月15日、ノートルダム大聖堂で火事が起きた。
ニュース映像を見ながら「ああ、なんということだ!」と思っている自分と、「おお、塔の部分はこうやって焼け落ちるのか」と思っている自分がいた。なぜなら私は2月中旬からほぼ一ヶ月に渡り、NHKの『歴史秘話ヒストリア』のために、奈良の興福寺が燃える絵ばかりを描いていたからだ。
絵といえども、順番としてはまず燃えていない興福寺を描く。そこに火の手が上がり、大炎上していく様子を描く。これを7回繰り返した。だから自分の手で7回燃やしてしまったようなカンジ…。
そう、興福寺は奈良時代に建てられて、なんと今までに7回も火事になっている。でも、実際に興福寺が火事になったのを見たわけではないから、想像の中で描いたに過ぎない(しかもアニメなので、あとはアニメーターさんまかせ…)。その仕事が一段落した後だったから、ノートルダムで火事があった時、燃え方のほうに興味を持ってしまったのだ。
ノートルダムは幸いに消火されたが、消防技術の発達した今だから可能なことだ。江戸時代の火消しを思い出してみても、消火というよりは、燃える範囲を広めないために、先回りして燃えそうな家を壊すとかしかできない。興福寺に限らず、昔はいったん大火災が発生すれば、あとは神や仏に祈るしかなかったようだ。
というわけで明日24日(水)の22時30分からのNHKの歴史秘話ヒストリア「興福寺 七転び八起き 日本の文化はここで生まれた」をぜひご覧ください。130枚くらい絵を描いています。
燃えるシーンだけでなく、建てるシーンも描いています!
はい。
そして、もう一つお知らせです。
同じく明日の17時50分からNHKBSで自分が出演する番組『伊野孝行 真珠庵での格闘』が放映されます。(再放送は5月5日12時20分〜30分)
約1年前にBSスーパープレミアムで放映された『傑作か、それとも…京都 大徳寺・真珠庵での格闘』という番組(90分)の個人パート版(10分)です。個人パートでは真珠庵の襖絵を描いた絵師たちをそれぞれ追う内容だそうです。私は襖絵を2泊3日で描いて帰ってきたおかげで(他の人は半年くらいかけて描いてる)本編での登場時間は2分半ほどでした。だから私的には10分というのは短縮版というより、拡張版ですね。
ただ、この番組、BSはBSでもBS4Kなので、4K放送のチューナーが内蔵されているTVか、別に4Kチューナーを持っている人じゃないと見れないのです。もちろんボクも見れません。つーか、今のところ、まわりでも見れるという人は誰もいないんだけど…。
家に2回取材に来たのと、なぜか神保町でロケもやったので、そういうのもうつっているかもしれません。見れる人がいたら見てくださいね〜。
この写真は描き上がった襖絵の前での記念写真です。
おわり。