伊野孝行のブログ

大井町の音楽BAR

今売りではなく、もうすでに書店にはない「散歩の達人9月号」で描いた絵をいまさら載せます。ちょうど特集は大井町・品川・大崎で、ぼくは「大井町の音楽バーはなんだかすごいぞ!」というコーナーを担当した。イラストレーターは家で仕事を済ませることが多いので、取材があるとけっこう出かけるのが楽しみだ。一軒目はAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)専門のバー「THE NIGHTFLY」。ちなみに取材はアポなしであった。お酒を2杯くらい注文してから、店主と雑談をかわすなかで、「実は我々はこういう者でして…」とおもむろに「散歩の達人」のバックナンバーを渡す。そこからぼくは資料にする写真をとらせてもらう。iphoneのカメラなのでこころもとない。お次は「Trust Saloon」ロック&メタルのバーです。実はここは取材の三軒目。二軒目のとあるバーで取材を断られてしまったのだった。もちろんそこでも取材を申し込む前にお酒を2,3杯注文しているから、つまり「Trust Saloon」ではもう6〜8杯目くらいを飲んでいることになる。バーだからがっつり食事をしないで、乾きものをつまんでいる程度なので、けっこう酔っぱらう。しかも二軒目で取材が失敗したから、なんとなく意気消沈してしまって、酔いもまわるって。結局、日を改めてもういちど大井町を訪れることになった。さて、完全にしらふの状態で取材再開。まずフランク・シナトラの専門「ALBERT BLUE」に入る。ここはけっこう食事も充実しているので、晩ご飯がわりに飲み食いしてしまう。この日の二軒目はモダンジャズバーの「IMPRO.」とにかく店の中が暗闇にちかく、撮った写真もほとんど使い物にならなかったが、異空間が心地よい。この店で取材も最後ということで、酒が進んでしまい、結局またけっこう酔っぱらった。実は二、三、四軒目の店は同じ建物にある。せまくて急な階段のついた、ふる〜い建造物。当然3つの店もものすごく狭いんだけど、となりあったお客さんとも自然にうち解けられる距離、っていいましょうか、いいんですよね。こういうバーの魅力だと思います。

「散歩の達人」は雑誌らしい雑誌で、取材も仕事も楽しい。お店の情報が載っている媒体は他にも腐るほどあるが(実際その多くは腐っているかも?)、「散歩の達人」は雑誌らしい切り口がちゃんとあるので、誌面をめくる指先を小躍りさせるのである。お世辞ではありません。