伊野孝行のブログ

日本イラストレーション史

日本に「イラストレーション評論家」という人が存在しないが、それはたぶん必要とされてないから、いないのだと思う。アートの世界では、完全に一枚かんでるから、アーティストやマーケットにも必要だ。でも、イラストレーションにも評論家はいたほうがいい。イラストレーションの定義は、メディアで機能する図版のこと、だから今やあまりに広い。50年代に日本でイラストレーションという言葉が使われはじめてから、その歴史も加速して、イラストレーション全体を客観的に見ることは自力じゃなかなか難しい。

で、今月の「美術手帖」の特集は「日本イラストレーション史」。(「イラストレーション」と「イラストノート」という二つの専門誌があるが、こういう特集は専門誌でこそ、連載とかで詳しくやって欲しいナァ。)都築潤さんと福井真一さんが監修、インタビュー、執筆もしています。お二人ともイラストレーターであります。実作者である分、やりにくかったことは多々あったと想像されるが、特集全体から必死さが伝わってきた。今の状況を憂えているのはなんといっても、イラストレーター自身だから。ページの関係で取り上げられなかった分は100倍はあるだろうけど、こういう意義のあることはすばらしい。まずはめでたし。オススメです。

都築潤さんご本人による紹介はコチラ