加山雄三と表参道など
昨年のことになるが、銀座でポン・ジュノ監督の「母なる証明」を観た。見事なショットとショットの積み重ねが、知らないうちに心の芯の部分を打ち続けていたようで、エンドロールが始まると、どこから来たのかわからない涙が溢れ出た。映画館を出て有楽町の街を歩いているときも、急にこらえきれない感情がこみあげてきた。まさに、映画でしか味わえない感動である。で、この翌日、DVDで加山雄三主演「海の若大将」を観たのである…。(クッリクすると画像は多少綺麗になります。)
「若大将シリーズ」実は初めて観たのだが、登場人物は全員、小学校低学年くらいの思慮で行動するので、こっけいを通り越してシュールの域に達していた。友人に聞くと全シリーズそうらしい。加山雄三は黒沢明や成瀬巳喜男の映画でちゃんとした芝居もしているが、この能天気で無神経な若大将は、やはり加山雄三でしかできない。彼のギリシア彫刻のような顔とともに、この映画の見所はそういった快晴の空のごとき馬鹿なのだが、昨日「母なる証明」を観た後ではなんともいえない気分にもなる。「ロケ地探偵」としては今回は表参道。昔は「ユアーズ」というおしゃれなスーパーがあった。都電も走っている。この通りは月に2度ほど通るので感慨深いものがある。この「ユアーズ」で水泳部の部員に食わせる食料を買い込むシーンがある。英語の書かれた缶詰が実はドッグフードだったというギャグなど、見所満載である!
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