映画西口東口
今週のブログはちょっと前に出た本、芝山幹郎さんの「映画西口東口」の紹介。いいタイトルですね。
『私は、駅と同様、映画にも西口と東口があるのではないかと思っている。にぎやかで、いささか猥雑な西口には、旨い食べ物屋が集まっている。ちょっと気むずかしいが、おしゃれで趣味のよい東口には、静かに飲みたい酒場が並んでいる。』と前書きにあります。
先週だったか、「週刊文春」を立ち読みしていたら小林信彦さんのコラムでこの本が絶賛されておりました。ブックデザインは日下潤一さん+赤波江春奈さん、タイトルレタリングは岡澤慶秀さん。岡澤さんのタイトルが相変わらず素晴らしい。わたしのイラストなんて、なくてもいいくらいですけどね。表4はこのような感じ。ジャック・タチの映画のポスターなんかを描いているピエール・エテックスという絵描きさんがおります。この人は画家で俳優で映画監督もする多才な方らしい。芝山さんと日下さんの打合わせで、ピエール・エテックスの絵のような、洒落た線画の絵でいこう、ということになって、ご指名を受けましたが、これが……むつかしい。べつにピエール・エテックスの真似はしなくてもいいのですが、雰囲気を出すのがね。画家で俳優で映画監督もするような人がサラサラッと描いた絵の雰囲気を出すには、自分自信も画家で俳優で映画監督でにならないと描けないのではないかと思いました。わたしの絵にはエスプリが足りません。お手上げ。下書きをしてから描く、というタイプの絵でもないので、何十パターンも描いた中から5つに絞り、日下さんに渡しました。この本にはパラパラ漫画がついていて、芝山さんらしき人が歩いています。カバーの絵はぶっつけ本番で描ける絵ですが、こっちは動きをなめらかにするために下書きはもちろん、アニメーターのような作業も必要。パラパラ漫画なんて子どもの頃によく描いたから、楽勝とおもっていたけど、これまた大変。まぁ、自分が慣れていないせいでしょうね。こんなの基本的な動作だから。そういうわけで、本屋さんで見かけたらどうぞよろしくおねがいします。