伊野孝行のブログ

二人展DMの正しい見方

来る8月27日(金)から9月1日(水)までHBギャラリーにて伊野孝行・丹下京子の「二人のスケベ展」じゃなかった、「二人展・鍵」が開催されます。みなさまご来場おまちしております。エログロナンセンスは世の中に余裕のある時代の表現ですが、この行き詰まった時代にエロとナンセンスで果敢に逆行したいと思います。

これが展覧会宣伝用カードです。タイトル「鍵」と二人の名前。「陰影礼賛」を思わせる和室の中で、なにやら気になるのは左に見える物体。さてこれは何でしょうか?(すべての画像はクリックすると鮮明になります。ピンぼけなのはブログのソフトのせいです。)

カードを開くと、丹下京子描く女性の絵が。足元には鍵が落ちています。右側にはなにやらあやしい白い足が。その上の文章にはこうあります。

老境をむかえた夫は、めっきり衰えた精力をある方法で取り戻すことを思いついた。/夫は若い男を妻に近づけた。彼は娘の恋人でもあるのだが…。/嫉妬の効用により、夫は目的を果たしつつあるが、貞淑な妻の中では何かが目覚めはじめた。/奇妙すぎる四人の関係。その果てにある世界とは。/谷崎潤一郎の小説を元に伊野孝行と丹下京子がおくる愛欲の悪夢。

開ききると私の描いた男性の絵(つまり夫ですな)が現れます。机に鍵をかけようとしています。真ん中には二人の日記の出だし部分が引用されています。お互いに秘密の日記をつけながらもこっそり読み合っている(読ませ合ってる)のです。二人の日記を交互に読んでいくことでこの物語は進んでいきます。

ひっくりかえすと、こうなっていました。横たわる妻は意識を失っているかのよう。眼鏡だけ光る夫はどうみてもあやしすぎます。

というようなわけです。原作にきわめて忠実に描いてますが、やはり個性というものは自然に出てしまうものです。小説でもない映画でもない「鍵」の世界が出来あがりつつあります。あとひと月を切りました。どうか見てやってくださいませ。ご鞭撻よろしくお願いいたします。
HBギャラリーはコチラです(click!)

 

 

TISサイトのリニューアル

というわけで、TISのサイトがリニューアルしました!(click!)

どうぞクリックしてのぞいてみてください。ホームページというのは色々な見せ方ができるけど、更新が難しい。ブログは更新が簡単だけど、見せ方が限定される。今度のTISのサイトは両方を兼ね備えています。画像も1000枚くらいアップ出来るらしいので、更新していきます。みなさまどうぞよろしくおねがいいたしま〜す!

福の神がやってくる

大阪、名古屋と巡回してきた「えびす大黒展」が東京にやってきます。これは見に行かなきゃ!入場料もないし。京橋のINAXギャラリー1にて3/4〜5/22までです。INAXギャラリー「えびす大黒展」はこちら!

この展覧会のカタログに絵を描いたので、オススメするわけでありますが、それを抜きにしても必見です。僕も実物はまだ見ていないので楽しみ。大阪ですでにご覧になった土橋とし子さんからは「思わず持って帰りたくなった。」という感想が届きました。

過去に書いたブログの記事です。是非読んでください。「笑顔の神様」伊野孝行のブログ

 

 

ロンドン修学旅行

わたくしは明日1月20日から26日まで、ロンドンに旅行に出かけます。国内旅行でさえ5年前に日光に一泊しただけ、海外旅行にいたっては16年ぶり!2度目ということで、もう何日も前からロンドンのこと(主に心配事)で頭がいっぱい。ツイッターにまで気がまわらないので全然つぶやいていない。な〜に、でもロンドンから「今、ロンドンなう!」とつぶやいてやる。旅の目的はゴッホの大規模な展覧会を観に行くためです。あとエリック・ギルの彫刻。こんな感じでまわる予定です。クリックするとデカクナル。

 

 

新年ご挨拶

みなさま、あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いいたします。
今年は8/27〜9/1までHBギャラリーでの展示(丹下京子さんとの二人展)とリトルモア地下ギャラリーでの個展(時期が未だ決まっておりませんが)があります。あ〜、いっぱい絵を描かなきゃいけないな〜と思うと、プレッシャーです。とりあえずお正月、お正月。

丹下京子さんのホームページはこちらです!是非クリックしてください。


伊野孝行ツイッターはこちらです。よろしく。なんとなくおもしろさがわかってきたような、わかってきてないような…。

 

 

日本イラストレーション史

日本に「イラストレーション評論家」という人が存在しないが、それはたぶん必要とされてないから、いないのだと思う。アートの世界では、完全に一枚かんでるから、アーティストやマーケットにも必要だ。でも、イラストレーションにも評論家はいたほうがいい。イラストレーションの定義は、メディアで機能する図版のこと、だから今やあまりに広い。50年代に日本でイラストレーションという言葉が使われはじめてから、その歴史も加速して、イラストレーション全体を客観的に見ることは自力じゃなかなか難しい。

で、今月の「美術手帖」の特集は「日本イラストレーション史」。(「イラストレーション」と「イラストノート」という二つの専門誌があるが、こういう特集は専門誌でこそ、連載とかで詳しくやって欲しいナァ。)都築潤さんと福井真一さんが監修、インタビュー、執筆もしています。お二人ともイラストレーターであります。実作者である分、やりにくかったことは多々あったと想像されるが、特集全体から必死さが伝わってきた。今の状況を憂えているのはなんといっても、イラストレーター自身だから。ページの関係で取り上げられなかった分は100倍はあるだろうけど、こういう意義のあることはすばらしい。まずはめでたし。オススメです。

都築潤さんご本人による紹介はコチラ