伊野孝行のブログ

「祖師と肖像」スタート!

ただいま京都、京田辺市の酬恩庵・一休寺では「祖師と肖像」展が開催中(〜12月2日)!左から「一休宗純の肖像」「五条大橋の大燈国師」「散髪する虚堂智愚和尚」「一休十態」

これらの掛け軸、巻物は京都の老舗表具屋さん「八木米寿堂」で仕上げられています。掛け軸にするには厚みのない薄い和紙がいいと聞いたので、今回はじめて薄い和紙に挑戦してみました。水を含むと当然ブヨブヨになるので、パリッと水張りしてから描こうと思ったんだけど、薄いからちょっとしたことで破けちゃって、結局断念しました。二つの頂相を色鉛筆で描いたのですが、水を使わないのでブヨブヨにならないから描きやすい、そういう理由もあります。

表具屋さんの紙の扱いはさすがですよね。詳しいレポートはJR東海の「そうだ京都、行こう。」のブログに掲載されています。

「そうだ京都、行こう。」のスタッフブログ↓
ま、私が宣伝しなくても、キャンペーンスポットになれば、観光客の皆さんはたくさんいらっしゃると思います。観光客=参拝者というわけではないので、禅の世界や祖師たちに興味を持っている人がどれくらいるかわかんないですけど、とっかかりとして、展示を見て興味を持ってもらえればいいっすかね。大徳寺系の祖師たちの解説パネル用に描いた似顔絵。
ここで一休寺のおもしろ写真をどうぞ。
一休寺の駐車場の看板。注意散漫に喝!
駅と一休寺を往復するタクシー。ナンバーは「193」。タクシーの車体に名前が刷られる日がくるとは思わなかった。
私は11月25日と26日は一休寺に滞在しております。
ちょうどそのころは紅葉が一番きれいだろうなあ。
ただ行くだけもあれなので、一休寺限定色紙をせっせと描いております。
売り上げの一部はお寺の開山堂の修復事業などに使われます。なにとぞよろしくお願いします。

10年も経っただなんて

今週は特別な週です。ブログを始めてちょうど10年。2008年11月8日に始めました。今、開始当初の記事をさかのぼろうとしたら、左側のタイトルになぜか最初の8回分が表示されません。不具合ですね。このブログは自前なので(友達に作ってもらった)、広告が出ない代わりに、10年も経つと色々不具合が出てきてます。来年にはホームページもブログもリニューアルしたいです。作ったときは最新だったのに、もうかなりガタピシいって懐かしい感じが漂っています。
10周年と言っても特別なことは何もなく、いつも通りの内容です。
今週は11月21日から始まる「風刺画なんて」のお知らせです。
みなさん「風刺画」はお好きですか? ぼくははっきり言ってキライです。だって面白くないし、たいてい絵がつまんないし。きっと風刺画というジャンル自体が日本では終わってるんだと思います。いや、終わったと思われているから、つまらないんでしょう。ちょうど1年前にイラストレーターの仲間と「風刺画ってなに?」という展覧会を開きました。風刺画の概念を疑う展覧会のつもりでした。「こんなの風刺画じゃない」という感想もありました。うれしいです。だっていわゆる「風刺画」なんてぼくはキライだから。でも、毒のある絵は好きですよ、人をおちょくった絵も好きですよ、笑いのある絵が好きなんです。それらの要素がないイラストレーションにはぼくはあまり興味がないかもしれません。我々の仕事の出自を尋ねれば、昔から風刺精神は欠くべからざる魂でした。果たして最近のイラストレーションにそのスピリッツは横溢しているでしょうか。「風刺画なんて……」と言いながらも今年も描いてみます。ホコリ臭くて見向きされないジャンルだからこそ、やってみる意味もあると思うのです。
minami shinbo
ご存知「本人術」シリーズ。このダライ・ラマは使い回しですが、展覧会には新作発表とのこと。お楽しみに!
yoshioka rina
今回のニューカマー。昭和エロ以外でも面白いです。
inunco いぬんこ画伯も今回初参戦。憧れの絵描きが「滑稽新聞」の墨池亭黒坊ってんだから期待は大。

takeuchi mika

竹内さんも初参加。簡単な絵から描き込んだ写実的な絵まで、表現方法を問わないこの展覧会にふさわしい。otaka ikuko

前回は全てフェルメールのモジリでしたが、今回はまた違う趣向も用意されているとか。

shimoda ayumi

あ、はい誰かわかります。大坂なおみですね。

tange kyoko

「とりあえずDM用に描いたけど展覧会には出さないかも」と言ってました。

nakamura takashi

中村さんは悪意のない穏やかな性格ですが、そんな中村さんにしか描けない風刺画だってある。

ninomiya yukiko

昨年は展示に一工夫して楽しませてくれた二宮さん、今年はどんな仕掛けがあるでしょうか。

ino takayuki

この展覧会、なんか僕が仕切ってるように思われるかもしれませんが、仕切りは昨年に続いてデザイン界のJKこと日下潤一さんです。もちろん日下さんも作品を出します。なのに、DMのどこを見ても日下さんの作品がありません。いつもはデザインが出来上がるとみんなに確認のPDFを回してくれるのですが、後ろめたい気持ちがあるからでしょう、今年はこっそり入稿したようです。

※えっと、注意していただきたいのはオープニングパーティーが初日(21日)ではなくて、23日の17時からです。で、23日は15時からトークショーがあります。なんと今回は入場無料(いつもは2000円もとっていた)です!お早めにお申し込みを!

「風刺画なんて」トークショー申し込みはこちらから!

はい、てなわけで見に来てね。

10年前、いやもう少し前だったかもしれませんが、売り込みに行っても全然イラストの仕事がなくて(年に2件ほどしか依頼がなかった)、そのことを誰かの個展のオープニングで、下谷二助さんにボヤいたんです。そしたら下谷さんに「100人イラストレーターがいれば、100通りのイラストレーターのなり方があるからねぇ」と言われたことを覚えています。その時は慰められた気がしてたんですが、今思えばなんと深い言葉でしょうか。プロはプロになる前からプロでなくてはならない。いや、言い方がややこしいけど、プロになる、そのなり方にオリジナルがなければいけない。そいう意味に解釈しています。

僕は11年前にホームページを作り、10年前にブログを毎週火曜に更新することにしました。ブログをはじめて4年目くらいで運良くイラストレーターになれた(バイト辞められた)のですが、ブログを通して自分なりのイラストレーターのかたちを形成、宣伝できたのではないかと思います(自惚れ)。
「自分はこうしてプロになった」という自慢話、いやアドバイス、いやおせっかいは、人の気をそそります。人がそれでうまくいったからといって、自分がそのやり方でうまくいくとは限らない。たぶんうまくいかないでしょう。はははは。

ILLUSTRATION WAVE

今週の土曜日10月27日から始まる「ILLUSTRATION WAVE展VOL.1」に参加します。
この展覧会の面白そうなところは作品のサイズが自由ということです。同列に並べると、小さい秀作より馬鹿デカい凡作のほうが存在感があります。ということはデカいほうが勝つ。いや、別に勝ち負けを競っているわけではないし、勝ち負けなんて簡単に決められるわけじゃないのですが、絵の内容が同じくらいのレベルならデカいほうが勝つ。そういうことになりましょう。
グループ展で自分の作品が他人より見劣りする時は、当然のことながら、あまり心が晴々しませんね。
しかし、自分が納得していれば、他人と比較して悩むこともないのです。勝ち負け勝ち負け言ってますが、他人との勝負というより自分との勝負に勝つ。そういう心持ちでいたいものです。
ただ、さっきも言ったように、デカいというのはそれだけで加算点がある。参加する222人はいったいどんなサイズで描いてくるのでしょう。SNSを覗くと「10メートルのものを出す」「2メートルのものを出す」「B全パネル6枚つなげて出す」「50号サイズを出す」という書き込みがあり、すでに帝国主義覇権争いの様相を呈しています。
こうなってくると、小さな傑作に目が行くかもしれません。デカけりゃいいってもんじゃないんですから。人間でも最後に信頼されるのは、普段は目立たないが底光りのする人格の持ち主なのです。
で、私ですが、なんだか中途半端な大きさにしてしまいました。ていうか、デカいの描いたら搬入が大変じゃん。そうそう売れないじゃん。家に戻ってきても困るじゃん。ある程度の大きさがあって、搬入が楽、しかも収納がコンパクト……と考えて掛軸タイプの絵にすることにしました。たぶんタペストリータイプとか、折りたたみ展開式のものとか、同じように考えている人はかなりいるのではないかと思います。
掛軸、屏風、巻物という日本美術の形式は収納がコンパクトにできて便利です。元は中国からきているのでしょうが、でもその中で襖絵というのは日本のオリジナルではないでしょうか。壁画が取り外しと付け替えができ、開け閉め自由だなんて、ナイスすぎるアイデアです。……いや、例の大徳寺・真珠庵の襖絵に話を繋げようとしているのではないですよ。ま、一応、公開中ですけどね。
さて、真っ白い紙を目の前にして、絵描きは何を考えていると思いますか?
ほとんどの人は失敗するんじゃないかという不安にかられているのではないでしょうか。真っ白な紙の中には予測不能の事態が満ちみちています。描き出すと同時に成功と失敗の間を針がゆらゆら揺れ出します。下書きがあっても、トラブルは必ず起こるのものです。
手描きで、しかも後戻りできない描き方が私は一番好きです。失敗でも成功でも、このライブ感がたまらない。描いているときに自然に体が熱くなって来て一枚脱ぐのが常です。
……と長々能書きをたれているのはなぜかというと、今回の絵はまぁまぁうまく行ったような気がするからです。そういうときはブログもベシャリがち。でも、ほかの人の作品と並ぶとまた印象も変わるというか「あ、負けてる……」と思うかもしれない。いったいみんなどんな作品を持ってくるんでしょう。よかったら見に来てください。入場料がかかりますが。そして入場料を払ったのだから、つまらなかったらつまらないと言う権利はあなたにあります。
さて、大徳寺・真珠庵の襖絵なんですが(え、やっぱりまたこの話ね)、今月の月刊「ひととき」(新幹線のグリーン車に置いてある雑誌、モチロン全国の書店でも買えます)にて、「オトナの一休さん」の脚本家ふじきみつ彦さんと、関西学院大学の西山克先生と寝転びながら鼎談しております。鼎談の最後で西山先生が私とふじきさんにこう語りかけます。
「一休さんのことをこんなに理解されたんだから、お二人には敵を作ってでも頑張って生きて行って欲しいな。」
生きるとはなんでしょう。一休さんが問いかけて来ます。敵はあまり作りたくないですが。
特集では長塚京三さんが京都の一休さんゆかりのお寺を回られております。今年のJR東海の「そうだ京都、行こう。」のメインスポットが一休寺なもので、一休推しです。そして長塚京三さんは長年つとめた「そうだ京都、行こう。」のCMナレーションを今年を最後に卒業されるのです。
大徳寺・真珠庵の襖絵修復&新調プロジェクト開催中!
酬恩庵・一休寺では11月10日より「祖師と肖像」展開催!

襖絵トークショー!

11月4日に、京都国際マンガミュージアムにて「真珠庵 襖絵修復プロジェクト 作家トークショー」が開催されます!

 

参加作家、写真左から
伊野孝行(イラストレータ―……僕です)上国料勇(アートディレクター・イラストレータ―)山田宗正(大徳寺・真珠庵第27代目住職)山賀博之(アニメ監督・ガイナックス社長)濱地創宗(日本画家・僧侶)山口和也(美術家)
参加作家の中に山田宗正和尚もいらっしゃるのがいいですね。和尚さまは禅問答で鍛えられたからか(?)、いつも会話でアドリブが効いてるんですよ。
4月に放送されたNHKBSプレミアム「傑作か、それとも…京都 大徳寺・真珠庵での格闘」という番組では聞くことのできなかった濱地創宗さん、山口和也さんのお話もたっぷり聞けることでしょう。
当事者が語ることが必ずしも真実とは限らないし、むしろ嘘をつく場合も多いですが、番組とはまた違った内容が見えてくるように思います。
※ネットにあるものはみんなのもの、ということでネットで漁ってきた写真を勝手に使ってます。一休さんならきっとオッケーと言うでしょう。
上国料さんはもともと東京に住んでいましたが、このプロジェクトをきっかけに京都に移住しました。そして、今も襖絵に手を入れ続けています。厳密にいうと今は公開中なので、描いてませんが。2泊3日で描き終えたヤツとは真逆の制作態度。私と上国料さんは襖絵もウラオモテです。
もっとも禅問答な感じの襖絵をお描きになった山賀さん。「アオイホノオ」でムロツヨシが演じていたキャラとは少し違います。だいぶ違うかな。でもドラマの中の発言はだいたい合ってるようですが。ちゃんと絵を描いたことがない山賀さんがいきなり大作に挑戦!メンバーの中でもっとも冒険度が高かったもしれません。
濱地創宗さんの「寒山拾得」。近寄ってみるととても繊細な絵です。実際真珠庵で修行をされていた方なので、ちょろっと来て、さっと帰ったヤツとは向き合いかたが違いますね。濱地さんとはまだあまり喋ったことがないし、襖絵のことについても伺ってないので、トークショーが楽しみです。
山口和也さんの作品「空花」。え、どこにあるかって?左右の引き戸の星のような絵がそれです。お寺が建てられた時からすでにハマってそうな佇まい。画面中心の奥に一休さんの木像頂相があるので、ここが一番聖域に近いですね。
無数の人物を一人一人気持ちを込めて描いた北見先生の襖絵。見ていると自然と宗教的な気持ちになります。
※北見けんいち先生は今回は出演されません。実は襖絵メンバー全員が揃ったことは未だにないのです……。
てな訳で、よかったら聞きに来てくださいよ。
入場料は1500円(ミュージアム入場料を含みます)。定員は180名。申し込み締め切りは10月20日。お問い合わせは下記のリンク先、ガイナックス京都まで!

「祖師と肖像」展開催!

何があっても更新することだけが取り柄の当ブログなのに、先週またサボってしまった。ちょっと仕事でテンパっちゃって……。

さてさて、今週は私の大好きな「宣伝」です。山紫水明の古都、京都はこれから秋まっ盛り!ただいま大徳寺・真珠庵では400年ぶりの襖絵新調プロジェクトが公開中。さらに、なんと、11月10日からは酬恩庵・一休寺でも私の新作が発表されます。題して「祖師と肖像」展。

これは京都駅のデジタルサイネージ(電子ポスター)用の画像です。普通のチラシやポスターの比率(A4とかB1とかの規格)と違って、縦に長いんだけど、これってスマホの画面の比率と一緒なんですね。世の中知らない間にすべてスマホあわせ。そういうことになってんだ。
ポスターには自分の顔写真がハメてありますが、「誰もお前の顔なんて知らねーよ」という皆様の心の声が、すでに私には聞こえています。いやいや、ごもっとも。実はポスターを作っている時には作品がまだ出来てなかったんで(ちりばめてある一休さんの絵も単なる宣伝用の絵です。これが展示作品ではありません)その代わりに入れたのです。デザインは仁木順平(本名、二宮大輔)さんです。(この絵は展示物にあらず。宣伝画像なり)
「祖師と肖像」展について、説明をば少し。
虚堂智愚から一休宗純、そして一休の弟子墨斎までの、大徳寺の法系の頂相を展示します。あわせてEテレのアニメ『オトナの一休さん』の作画担当イラストレーター、伊野孝行氏によるNEO頂相(?)も発表!他に一休宗純の漢詩集『狂雲集』、一休宗純所用の五条袈裟なども展示
とチラシやポスターにも書いてある通りの内容なのですが、みなさまには「頂相」というのが耳慣れない言葉でしょうか。頂相(ちんそう、ちんぞうとも読む)は簡単に言えば、禅の高僧の肖像画のことです。また頂相は禅僧にとっては信仰の対象でもあります。真珠庵でも、酬恩庵でも、方丈の本堂には仏像のかわりに一休さんの木彫が置かれています。頂相の立体版、頂相彫刻と言ってもいいでしょう。(酬恩庵・一休寺にある一休宗純の頂相彫刻。晩年の一休さんを生き写しに作られた。当初、像には一休さんの髪の毛と髭が植えられていたという)
このように、頂相とはたいへんに尊いものなのですが、そ、そ、それを禅の修行僧でもない門外漢の私が新しく描くってんだから……オラどうなっても知らねー!ですよ。
さすが一休さんゆかりのお寺はアグレッシブ。さて、どうなるんでしょう。
と言いましても、実はすでに描き終わっておりまして、ただいま京都の老舗の表具屋、八木米寿堂さんで表装してもらっているところです。(八木米寿堂さんは下京区東前町にある伝統家屋「町屋」だった)(一休宗純NEO頂相の部分)
私の作品は、虚堂智愚(きどうちぐ)和尚、大燈国師(だいとうこくし)、一休宗純のそれぞれの頂相、合わせて掛け軸3幅、そして「一休十態」と題した一休さんの巻物一巻、合計4作品です。エセ頂相です。大丈夫、一休寺所蔵のモノホンの頂相もちゃんとありますから。
「頂相は尊いものなり」と言いましても我々にとって敷居が高いのも確か。だいたい虚堂智愚、大燈国師と言ったって一般の人にとってはZENZEN馴染みがないでしょう。お二方とも一休さんがリスペクトしてやまない禅僧なのですが、私もはっきり言って詳しく存じ上げておりません(笑)。だってとっても文献が難しいんだもの。それじゃ肖像画が描けないよ。
でも心配ご無用。「オトナの一休さん」の監修者でもある芳澤勝弘先生が、今回も協力してくださいました。芳澤先生は白隠研究の大家でもあリます。
白隠さんが描いた数々のユニークな禅画も、それまで貴族的であった禅を、大衆に広めるために描かれたもの。いわば白隠の禅画はイラストレーションだと言いきっても差し支えないでしょう。
(芳澤先生は新潮社とんぼの本「禅のこころを描く 白隠」で漫画にも描かせてもらいました。この似顔絵は自慢じゃないが超似てます)
大燈国師は1315年(?)に洛北紫野の地に小堂を建立した。これが今の大徳寺の起源とされます。大徳寺派にとってめちゃ大切な方であります。
で、大燈国師の頂相(上)を白隠禅師が描くとこうなる(下)。大燈国師は五条大橋の下で乞食たちと暮らしていたというエピソードに基づいています。すごい迫力。素人絵の強さ。
 そうだ、言い忘れましたが、今年のJR 東海の「そうだ京都、行こう。」のメインスポットが一休寺なのです。
美しい一休寺の紅葉をCMでどうぞ!

私の「なんちゃって頂相」は、一休寺を訪れる観光客の方の手を引っ張って、禅の世界を紹介する役目?いや、私自身ZENの何たるかもわかってないのにねぇ。いや、ここ2、3年でなんとなく禅の入り口には立っているような気はいたします。
関連イベントのお知らせです。
(※ 会員限定イベントです)
出演者:禅宗史研究家 芳澤 勝弘/イラストレーター 伊野 孝行/人形作家 北野 深雪/酬恩庵 一休寺 副住職 田邊 宗弘
京都のお寺で同時に2ヶ所も絵が発表されるなんて、たぶん最初で最後でしょう。一休和尚、ありがとう!

ひたすら御朱印帳

土日月とまた京都へ行ってきました。まず第1の用事は、老舗の表具屋、八木米寿堂さんへ絵を届けに行くこと。掛け軸3本と絵巻物1巻にしてもらいます。この絵は11月に酬恩庵・一休寺で「祖師と肖像」と題した展示で飾られます。JR東海の方も取材に来られ、いずれ「そうだ京都、行こう。」の記事として発表されるとのこと。

つまりこの秋は、大徳寺・真珠庵と、酬恩庵・一休寺の二箇所で展示があるということです。こんなことは私の人生の中で最初にして最後のことでしょう。
第2の用事は公開中の大徳寺・真珠庵に行って、御朱印帳にサインと絵を入れること。用事が終われば、あとは楽しい宴会…ということで今回も色々お世話になりました。
襖絵を描いてる時は何も考えていなかったのですが、歴史ある京都のお寺に絵を描くということの意味を、描き終わってからしみじみ味わっているところでございます。
意味とは何を意味するのでしょう?(真珠庵のお庭)
真珠庵は土日になると1日500人くらい拝観のお客様がいらっしゃるようで、東京で個展をやってもそんなたくさんのお客さんに見てもらえません。他の襖絵絵師の方々のおかげ、そして建物自体が重要文化財の大徳寺・真珠庵のおかげ、物販制作会社、広報担当会社のおかげ、特別公開限定スタッフのおばさまたちのおかげ、そしてご住職ならびに心意気お手伝いの皆さまのおかげ……ざっとあげてもこれだけの「おかげ」があります。
普段の個展では、そういったことはほとんど自分でやらなくてはならず、しかもヒジョーに微力です。だから余計に骨身に沁みます。
(ひたすら御朱印を書く和尚さま)
(手に資料を持っているのは襖絵を解説してくれてるスタッフの方)
それと、京都の地元の人たちの間にスルッと入れるラッキーさ。特別公開中の真珠庵には和尚さまを慕って集まる人も大勢いらっしゃいます。今日はあの人、明日はこの人。もともとお寺の醍醐味とはそういうところなのかもしれません。集まる人の職業も本当にいろいろで面白い。そんな時に、自分のことを一から説明しなくてもいいじゃないですか。「襖絵を描かせてもらってる伊野と申します」と言えば通じるんだから。
せっかく泊まらせてもらったのに、早起きできなくて、お庭掃除が手伝えなかったりで、一宿三飯お酒つきの恩返しもなかなかできず、ヤバいなーと焦りました。ですから、ひたすら御朱印帳にサインと絵を入れて来ました。50冊くらいは描けたかな?
京都のお寺に絵を描く意味の、意味が何を意味するかは、きっと自分次第でありますね。
(下書きなしで描かなくてはいけない…筆と消しゴム判子は持参です)
(サインの横の絵は5種類くらいあります)
(お邪魔した時はちょうど和尚さまのお誕生日でしたので、二つ折り色紙に絵を描いてプレゼントしました)