伊野孝行のブログ

伊藤若冲のご近所さん

ただいま、絶賛発売中の「芸術新潮」の特集「若冲 水墨ニューウェーブ」で性懲りも無く絵を描いております。今回は伊藤若冲の近所には誰が住んでいたか?というご近所マップ、そのご近所さんとの交友録、若冲の年譜、の3パートを担当しました。IMG_1574写真が見にくいですね、これは本屋に行って買うしかありません。そうすれば18世紀後半の京都にはどんだけすごい人がひしめいていたかわかるでしょう。IMG_1576IMG_1577上の絵は年譜のパートに描いたもの。ご近所マップの人とはまた違います。エピソード1エピソード2エピソード3修正エピソード45修正ご近所さんとの交友録、「京都町絵師今昔物語」のマンガ。元になったエピソードをある程度脚色しています。なんとか読めるかもしれませんが、こんな荒い画像で見るより、買ったほうがいいですね「芸術新潮」を。マンガの「サザエさん」を見ると、絵も素晴らしいけど、字も読みやすくて感心します。私の字は読みにくい。研究しなければ。にわとり賑やかしのニワトリ。

ただいま東京都美術館で開催中の「生誕300年記念 若冲展」は東京では過去最大の若冲展だそうですが、待ち時間と混み具合を考えると怖気づいて、まだ行ってません。

おしゃべり/絵って何?

講談社の「ベストカー」(日本で最も発行部数の多い車の雑誌だという)で連載されている藤田宜永さんのエッセイに絵を添えています。タイトルは『僕のおしゃべりは病気です』。藤田宜永さんは、長髪にサングラス、ロッカー風ないでたち……にもかかわらず、文壇一のおしゃべり男であるらしいのです。

そんな藤田さんが、車の雑誌だけど、車とは無関係におしゃべりについて綴る文章が、これまた調子が良く、読んでいて気持ちがいいのです。スラスラ読めて、読み応えがあり、切実な気持ちも伝わってきます。さすがプロ!と毎回思います。

僕はおしゃべりな人が好きだし、自分もどっちかというとおしゃべりな人間かもしれません。実際、楽しいおしゃべりの時間に勝るものってそうそうないです。おしゃべり5回おしゃべり6回おしゃべり7回おしゃべり3おしゃべり8回おしゃべり9回担当さんからは、「藤田さんの文章に書いてあることを絵にしなくてもいいですよ。好きにやってください。ラフ?いりません、いりません」と、ありがたいことに、最高度の信頼を寄せていただいております。担当さんのメールの文章もこちらの気持ちを乗せるのがお上手で、楽しいのですが、褒めたついでにサラッと注文が入っていたりするのもニクいところです。おしゃべりの楽しさを絵に表そうと、幾分かラフなタッチで描いております。IMG_1550さて、プロ中のプロ藤田宜永さんとはうってかわって、プロの世界に横入りした私の拙い作文です。「小説すばる」で連載中の「ぼくの神保町物語」、第3回は「絵ってなんだろう?」というタイトルにしてみました。ずいぶん大きく出ましたね〜。

セツ・モードセミナーに通っていた頃の話を今回も書いています。長沢節は「デッサンは絵の基本じゃない、絵はデッサンからの解放だ」と言いました。デッサンは絵の基本だと思い込んでいた自分にとって、それは衝撃の言葉でした。では絵とはいったいなんなのでしょうか……気になる方は是非立ち読みでも。IMG_1551IMG_1552IMG_1553いやー、絵の話って書くのむつかしい。これが美術系の雑誌であったり、イラストレーションの専門誌だったら、読者もある程度限定されます。基本的に絵に興味がある人が読んでいるわけですね、そういう雑誌は。ところが文芸誌だと、絵に興味がない人にも読んでもらわなくてはならないのです。

最初に書いたものを担当さんに読んでもらったら、「なんか演説してるみたいだね〜」と言われ、全面的に書き直しました。通りすがりの皆様の足を止め、耳を貸してもらためには、まず主人公(私)に感情移入してもらわなくてはいけないのでした。そりゃそうだね。

人生曼荼羅/蕭白トーク

プレジデント社の「WOMAN Online」というwebページでやっている人生相談の絵です。ひとつの人生相談に対して、本田健さんと河崎環さんのお二人が答えております。わたしは第三の回答者のつもりで絵を描いてます。一見、茶化しているような絵に見えるかもしれませんが、心から親身になっているのです。前回から間があいてしまい、季節ネタがかなり古くなってしまいましたが、ちょっと時間を振り返りながらご覧ください。

では、最初の相談者の方、どうぞ〜!人生曼荼羅12-2あ【今回のご相談】
同僚から「クリスマスイブの日の遅番勤務を代わってほしい」と頼まれました。特に予定は入っておらず、断る理由もないため引き受けてしまいましたが、なんだか私だけ損をしているような気がしてモヤモヤします。理由がなくても、断った方がよかったのでしょうか?人生曼荼羅12-3あ【今回のご相談】
38歳、独身の会社員です。赤ちゃんや家族の写真が入った年賀状が届くお正月は、幸せ自慢をされているような気持ちになり、鬱々(うつうつ)としてしまいます。同時に、友人知人の幸せを心から祝えないことに自己嫌悪を感じます。どうしたらいいでしょうか?人生曼荼羅12-4あ【今回のご相談】
私は年齢や肩書などを聞くと、特に自分より目上の人に対しては、つい力が入ったコミュニケーションになってしまいます。力を抜いて、誰とでもコミュニケーションを取れるようになるにはどうしたらいいでしょうか?人生曼荼羅1−1あ【今回のご相談】
台所の洗剤の泡立ちが悪いと思っていたら、義母に水で薄められていました。義母は洗剤が毒だと思っており、使うのは最小限にすべきと信じています。実際、義母が洗った食器は汚れが落ちていないことも多いため陰で洗い直したりしているのですが、当て付けのようになってしまうので、おおっぴらにもできません。どうしたらいいでしょうか。人生曼荼羅1−2あ【今回のご相談】
会社に、あいさつをしても無視する女性の先輩がいます。「何か悪いことをしたかな?」と考えてみたのですが、思い当たる節がありません。あいさつをしてくれない先輩に対して、これから先もずっとあいさつをし続けるしかないのでしょうか。またあいさつをし続けた方がよいのでしょうか。人生曼荼羅1−3あ【今回のご相談】
夫が人を見下すような態度や物言いをします。私の両親に対してもそうです。大人なので今更変わらないと諦めていますし、そんな相手と結婚した自分にも責任があると覚悟を決めています。ただ、小学1年生の息子が夫のような大人になってしまうのではないか、と心配です。子供に対して「お父さんみたいな人になってはダメよ」という言い方をするのも、教育上よくない気がします。何かいい方法はないでしょうか。人生曼荼羅1−4あ【今回のご相談】
バレンタインデーになると、夫が会社でチョコレートをたくさんもらってきます。お返しを買うのは私で、費用の出所は家計です。夫のメンツにも関わるため、女性が「おっ!」と思うようなお返しを毎年用意していますが、「なぜ私が義理チョコ騒ぎに付き合わねばならないのだろう」とむなしくなります。人生曼荼羅2−1あ【今回のご相談】
上司の言い間違いが多く、困っています。「シミュレーション」を「シュミレーション」、「コピペ(コピー&ペースト)」を「コペピ」といった具合です。何度も耳にするので、たまたま間違えたのではなく覚え間違いをしていると思います。いちいち指摘するのも差し出がましいので控えていますが、一緒に客先に出向くことも多く、上司が口を開く度にひやひやします。指摘した方がいいのでしょうか? また上手な伝え方がありましたら教えてください。人生曼荼羅2−2あ【今回のご相談】
お金を貯めるのが苦手です。20代の頃から貯めよう貯めようと思いながら、ズルズルと30代半ばまで来てしまいました。お金を借りたりすることはありませんが、お給料をもらったらもらっただけ使ってしまいます。使い道は洋服、友人との飲食、ジムや習い事の月謝などです。転職する前は、年収が今より3割ほど少なかったので、その少ない方の収入額でも十分にやっていけるはずなのですが……。どうしたらいいでしょうか?人生曼荼羅2-3あ【今回のご相談】
会社の後輩が優秀過ぎて困っています。私が彼女を指導しなければならない立場なのですが、一を聞いて十を知るタイプのため、指導する隙がありません。時には不十分なところもあるのですが、その点について私はさらに不十分なため、恥ずかしくて指導できません。毎日会社に行くのが憂鬱(ゆううつ)です。どうしたらいいでしょうか。人生曼荼羅2-4あ【今回のご相談】
人のアイデアを盗む同僚に腹が立ちます。私は人のアイデアを自分の仕事に使う場合は、「○○さんにアイデアをいただきました」など、言葉を添えるようにしています。しかしそうしていると周囲から「仕事ができない人」と見られてしまうのではないかと不安です。アイデアを盗むのと、出典元を明らかにするのとでは、どちらがよいと思いますか?3月17日あ【今回のご相談】
スマホが手放せません。会社で仕事をしている時間以外はスマホ漬けです。LINEやSNSで友人知人との交流を楽しむわけではなく、ニュースサイトや掲示板をひたすら見ています。一人暮らしですが、食事はコンビニで買って済ませており、家事は洗濯など必要最低限のことだけしかしていません。このままではあらゆる意味でダメになってしまいそうと恐怖を感じますが、やめられません。どうしたらいいでしょうか。3月24日あ【今回のご相談】
お金が怖くて使えません。先行きが見えない昨今、老後が不安なため、稼いだお金はほぼ貯金しています。もともと地味で、交友関係も広くないため、日々の質素な生活自体は苦になりませんが、何のために仕事をして稼いでいるのだろう、生きているのだろうという思いで胸苦しくなります。4月7日あ【今回のご相談】

人に頼ることが苦手です。何か課題を与えられたり、壁にぶつかったりするとすぐに「自分で解決しなくては」と考えてしまい、人に頼るということに思い至りません。人の力を上手に借りて、高いレベルで仕事の目標を達成している同僚を見ると、「ずるい」という気持ちとともに、自分もそうなりたいと感じます。どうしたらうまく人に頼れるようになれますか。

はい、お疲れ様です!最後まで読んだ人はエライ!自分でも記事を画像をアップしながら、長いよ〜!と思ってしまいました。

最後まで読んでくれた人には、とっておきの情報をお知らせしましょう。fa20120531a2a

来る2016年6月4日土曜日18時から

南青山の「本の場所」で「曾我蕭白肉筆画展」において南伸坊さんとトークします。曾我蕭白の本物の絵の前で蕭白についてしゃべる会。円山応挙の絵も出るそうです。参加料1000円ポッキリ。上の絵はボストン美術館にあるやつだから見れないですよ。

「本の場所」は川崎徹さんがお仲間とやっておられるスペースで、そのお仲間は川鍋暁斎や曾我蕭白のコレクターの方だそうです。というわけで、そのコレクションを眺めつつ、お話をする会です。

要予約↓

本の場所、蕭白トーク受付はこちらまで。

世界満腹食べ歩き5~8

去年の秋にMacを7年ぶりくらいに買ったのですが、以前から使っているMacが完全にぶっ壊れてからでは遅いので、余裕を持ったのです。しかし、古い方のはまだ使えるので、案の定、秋が過ぎ、冬が終わり、春が来て…このまま夏も終わって、そのうち新品のMacが箱の中で古くなってしまいそうに感じたので、先日思い立って、ついに箱から出してみました。

それでならべて使ってみたところ、モニターに映る色がかなり違った。新しいのはやけに濃く、たぶんこっちの方が正しい色なのでしょう。

色校のチェック時に自分のMacで着彩した絵の色と、印刷物になった絵の色に、けっこう差があると思っていたのですが、モニターで見ている色がおかしかったとは。印刷されるとどうも色が濃く、ややもするとどぎつく感じられる時もありました。ところが新しいMacのモニターで見直した絵と、最近印刷物になった絵を見比べると、ほとんど忠実に再現されていることがわかりました。印刷屋さん頑張ってくれてたんだ〜。

時々「モニターのキャリブレーション」ってのをやらなきゃいけないらしいのですが、よくわかりません……。

さて今日のブログは岡崎大五さんの「世界満腹食べ歩き」です。小説現代ではただいま13回まで進んでいますが、私のブログでは4回までしか紹介していませんでした。というわけで今日は5回から8回までの絵を載せましょう。アフリカ1アフリカ25回目は岡崎さんが海外専門の添乗員をやっていた頃にアフリカ・サハラツアーに行った話。とにかく苛酷です。バイキングの1バイキングの26話目はタラをめぐる冒険。タラという魚を追いかけて世界が出来上がった!?サーフ1サーフ27話目は岡崎さんが若い頃、ちょと鬱病っぽくなってインドネシアの島でサーフィンばっかりやって暮らしてた頃の話。スクーターに豚をくくりつけています。シルク1シルク28回目は近年、岡崎さんが奥さまとシルクロードを旅した時の話。こちらは前編。地図を描くとき、この国はここにあるんだぁ、と思う地理に弱い私。

岡崎さんの人生ってのはネタの宝庫だ。パソコンのモニターがどうしたこうしたなんて言ってる自分が小さい。しかし、言葉の通じない知らないところに行くとオドオドビクビクしてしまう私には、狭い世界で生きるのがお似合いだろうな。

行ったこともない国の写真を見て(岡崎さんから毎回資料が届く)、画像検索して、シコシコ絵作りをしていると、私までちょっと脳内トリップをした気分になります。

ハァ〜……今度生まれ変わってきたら旅行好きな人間になりたい。

パノラマ世界史1000年

大月書店から発売中「輪切りで見える!パノラマ世界史 第2巻」(監修:羽田正先生、文:内田力先生)にたくさん絵を描いております。このシリーズは全部で5巻あります。最近全5巻無事に完結したそうです。わたしが担当した第2巻は「さまざまな世界像」と題され、750年〜1350年の世界史をあつかっています。たーっくさん絵を描いたので、時々載せます。で、今回は1000年ごろの話。まずは「社会のしくみ」を約束と信仰をテーマで。1000年しくみ1騎士の忠誠1000年しくみ1-2知識と真理を求めて1000年しくみ2その宗教にします1000年しくみ④君主を囲んで1000年しくみ⑤試験管は皇帝陛下1000年しくみ3物語のなかへ

はい、続きまして1000年ごろの人々のくらしはどうなっていたかというと、この時期は地球の温暖化に当たっていました。「中世温暖期」とよばれるらしいですね。1000年くらし①差し替え領主様の畑を耕す1000年くらし1海のむこうへ1000年くらし2馬は相棒1000年くらし④差し替え石像づくりはじめました1000年くらし3断崖に住もう1000年くらし3-2税をあつめに行って来ます

絵と文章のタイトルだけ載せました。絵には、内田力先生のテキストがついています。絵だけ見ても、なんのこっちゃわからないと思いますが。本は下記のサイトでも買えます。

大月書店のサイトはこちら!

 

 

ご近所さん/目黒の鰻

最近やった装画のお仕事をば。ひとつめはKADOKAWAから発売中の群ようこさんの新刊「うちのご近所さん」です。IMG_1493うちのご近所さん1なんでも、群さんのすぐご近所に担当編集者が住んでいて、その近所にデザイン事務所があって、そのまた近所に私が住んでいるらしいのです。というわけでタイトルにちなんでご近所さんで本を作ったというわけです。デザインはbookwallさん。IMG_1494うちのご近所さん2続きましては双葉文庫の新刊、早見俊さんの「千代ノ介御免蒙る 目黒の鰻」将軍様が手にしているのは番付です。江戸時代は相撲だけでなく、いろんな番付が作られていました。番付のまん中には「御免蒙る」って書いてあるんですよね。番付がどう物語に絡んでくるのでしょう。IMG_1495文庫のカバーデザインは長田年伸さん。下はPOP広告のカードです。デザインはビーグラフィックスさん。ポップ目黒の鰻確認用いつもとちょっと違う感じに描いてみたのです。線のスピードを弱めて。書店で見かけたら、よろしくおねがいします。