これらは去年の仕事だが、何故かブログにアップするのが後まわしになっていた。深層心理でこういう変な絵ばっかり描いてる人に思われたくない、という気持ちがあるのだろうか。描いたのは「息子の嫁に欲情する親父」と「男に嫌われる男」の絵だし…。二つは「dankaiパンチ」飛鳥新社と「SPA!」扶桑社の特集メインカットです。(何故かこのブログは画像がボケる。絵をクリックすると綺麗な画像となってあらわれますが、誰もそんな手間はかけてくれないでしょうね…。)


こういったイラストレーションは、今は漫画系の人が描くことが多い。漫画系に対して、便宜上僕は絵画系ということにしておこう。絵画系の僕が気をつけていることは二ュアンスだ。ニュアンスを欠いたら、ただの状況説明の絵になってしまう。この場合は水彩の滲んだ感じで、読者の心にジワッと入っていこうとしている。それと「間」が重要だ。「間」が抜けたマヌケな絵にしたい。絵の褒め言葉として「ヌケがいい」と言ったりする。それは構図であったり、対象物が整理されて主題がはっきり浮かび上がっている状態であったり、色々なことを大雑把に評価した言葉であるが、「マヌケ」は「ヌケがいい」に通じるところがある。いかにして「マヌケ」さを画面に出すかを考えていったら、自然と「ヌケのいい」絵に近づいていた経験がある。

何年か前に、TVのチャンネルをまわしていると、NHKの中国語会話で手が止まった。なぜかというと、そこに出ていた先生が古畑任三郎のものまねをしながら、教えていたからだ。う〜ん、なんだこれは!しかも、ものまねがウマい。ずっと脳裏に焼き付いていたその先生こそ、今回表紙を描かせてもらった相原茂先生である。これであの人は一体何者なのだ?という疑問も解消されたし、仕事もできて万々歳だ。カバー裏表、付録のCD、章の扉、カットなど10個ぐらい絵を描いた。デザインは鈴木一誌さんと杉山さゆりさん。講談社から発売中です。






この本の中に納められた数あるジョークの中で、僕が一番好きなのはコレ。
男の子がガールフレンドにラブレターを書いた。自分の気持ちを表すために封筒の裏にハートをこれでもかというほどたくさん描き並べ、それを矢で射抜くイラストを仕上げた。やがて返事がきた。彼女はこう聞いてきた。
「封筒の裏に描いてあるシシカバブはなんですか?」
「野生時代」に連載中の宇江佐真里さんの時代小説「通りゃんせ」は、三ヶ月に一度の掲載である。四回目を迎えたということは、一年が過ぎたということでもある。もう一年か…。
いままでサインペンで描いていて、その味の出にくさに苦労していた。サインペン自体は好きな画材なのだが、ポップな軽いものを描くときにはいいと思う。でも時代小説にはちと向かなかったかも。そもそもこの小説は、現代の若者が江戸時代にタイムスリップする話なので、サインペンをつかったのは狙いであったのだが。そんなことで、今回から鉛筆にかえてみた。コントラストをあげて線をサインペンと同じように濃くした。三ヶ月に一度だし、誰も気づいてないと思うのがだ、告白しておく。
仕事で描いた見開きを3つ。画像はクリックするとでっかくなります。1つ目はイーストプレスの「裁判傍聴マガジン」の見開き。
絵がデザインの都合で切れてしまったので、原画も載せてみます。
手前の左端は勝新、中央は貴乃花元審判部副部長、傍聴人の中には奥崎謙三、朝青龍、三浦和義、遠山の金さん、閻魔大王など裁判、裁きに関連した人物を入れてみたが、似顔絵的にはあんまり似てない。弁護士は天海祐希ですか?と担当編集者のYさんに言われたが、そのつもりじゃなかったが、そうです!と答えてしまった。裁判傍聴を劇場に見立てて描いた。ちなみに裁かれてるのはただのコソ泥である。
2つ目はJTの「FILT」というフリーペーパーに描いたもの。夏でビーチで開放的とくれば、どうしても湯村輝彦さんの数々の傑作が頭をよぎる。自分は自分、違うことをやらなけりゃと、こんな風にしたのだが、自信のなさが思い切りを悪くしたかな?
3つ目はポプラ社の「プシコ」で描いたもの。もう結構前の仕事ですが。「プシコ」ももうないし。30代40代の女性をターゲットにしてたと思うが、「心理学マガジン」とうたってたので、こんな女性誌らしからぬ絵でもOKをもらってた。現代の勘違いした自称サムライ達を、本物の武士達が天国から見て怒ってる図。他の号ではいつもはかわいい女性とか描いてたんですよ。自分なりにですけど…。↓こんな感じでね。
「週刊金曜日」に連載されていたお医者さんのコラムに付けたカットです。「笑う門には」と題されたこのコラムは、笑うことでNK細胞(ナチュラルキラー細胞、天然の殺し屋細胞)が増えて、ガン細胞を退治してくれるという話を中心に展開されていた。普段より自然治癒力を信奉しているので、耳に聞こえが良かったが、実際自分がガンだったら心底笑えるかは、自信がない。ただ、最悪の状況を笑い飛ばすことは、安心立命の境地に近づく道であるとは思う。

左上、鏡の顔がピカソの「泣く女」になっていて泣いてるおばさん。右上、酒杯に映り込んだ顔が福笑いになってる。左下、必ず治りますように、祈願のダルマ。右下、すべては心の決めたままに…。
※クリックするとピンぼけが直ります。目が悪い人が眼鏡をかけるとくっきり見える、という気分を味わいたい方は画像をクリックしてみましょう。
金太郎がお昼寝中のクマのところにやってきました。

金太郎「ねえ、オイラと相撲をとろうよ!」
クマ「ん、相撲?よ〜し、いっちょやったるか。」




南伸坊さんの「のんき図画」の出版を記念して、青林工藝社「アックス」で「のんき特集」という特集があった。南伸坊さんの推薦もあって、僕も「のんきなイラスト」ということで参加させていただくことになった。この「金太郎全敗物語」は前にも発表したことがあるのだが(HBギャラリーの本で)、またまた登場ということになりました。「アックス」の前身はもちろん「ガロ」である。「ガロ」に漫画を描いてみたいというのは昔の夢であったが、「ガロ」はなくなり「アックス」に変わってしまった。その間に、僕も漫画家志望からイラストレーター志望に変わっていた。ずいぶん時間はたったが、こうやって寄稿することになって不思議な感じである。南伸坊さんは「ガロ」の編集長でもあったから、「ガロ」に載った気分にもなれました。※これは去年の話なので、今売りの「アックス」ではありません。あしからず。