CD「オトナの一休さん」
「オトナの一休さん」オリジナル・サウンドトラックがポニーキャニオンより発売されました。

「オトナの一休さん」オリジナル・サウンドトラックがポニーキャニオンより発売されました。
「小説すばる」で連載中『ぼくの神保町物語 イラストレーターの自画像』先月分をアップするのを忘れてたので、今月分と合わせて第10回と第11回を。
今売っている「芸術新潮」に描いた北斎の年譜パートの絵。横に長い絵なので、無理やり縦に載せます。北斎は若い頃に浮世絵の彫り師をやっていたとは知らなんだ。あと意外に遅咲きで、四十過ぎてから自分の絵の世界がひらけたようだ。もし若くして死んでいたら北斎は北斎でなかったのだ。北斎は引越し魔だったことは有名だが、人気絵師になってからもなぜかずっと貧乏暮し。なぜか?その謎は未だにわからないんだって。今回の特集で一番惹かれたのは読本挿絵の絵。「北斎漫画」は知ってるつもりのところがあったけど、見開きいっぱいところ狭しと動きまくる読本挿絵は僕にとって新しい絵だった。もっと見たいと思ったが、北斎読本挿絵集成〈第1巻〉 (1971年)というのを検索すると10万円以上するではないか!しかも5巻まであるらしい。北斎漫画はいっぱい本があるけど、読本挿絵を廉価版でいっぱい見たいなぁ。そういう本てあるのかなぁ?あったら欲しいなぁ。
さて、こちらは、ちょっと前になるけど「散歩の達人」に描いた絵。
中野坂上、中野新橋、中野富士見町、方南町の4駅は地下鉄丸ノ内線の支線。こういう支線を盲腸線(幹線から枝分かれした短区間の行き止まり線)って言うんですってね。
僕はライターの和田静香さんと一緒に中野新橋を訪ねました。和田さんは相撲好き、僕も相撲好きということでコンビを組んだのですが、中野新橋にはそうあの「貴乃花部屋(つまり旧・藤島部屋、旧・二子山部屋)」があったんですねぇ。でも今は引っ越しちゃってないんです。ないのにその残り香を求めて訪れたのです。
閉鎖された部屋の建物はそのまま残っていましたが、看板が剥がされた跡は未だ生々しい。あいにく天気も悪い。部屋の近所の人に話を聞こうとするも皆一様に口が重い。まぁ、今まで散々マスコミにうるさく聞かれて、皆さん文字通り閉口してしまったんでしょうな。こっちはただ古きよき日の思い出話が聞きたかっただけなんだけど、なかなかネタが拾えず、焦ります。
ところが「上州屋」って言う弁当屋のおばちゃんが気さくに語ってくれました。そしてすっぽん料理の「久松」の大将(現・商店街の理事長)もいい思い出話を聞かせてくれましたよ。これで土俵際まで追い詰められていた取材は、うっちゃりで一気に攻勢に。
「藤島部屋は当時まだ華やかだった中野新橋の花柳界、その中に建てられたんです。ずいぶん粋でしょう。親方はそれで忙しいようで(笑)見せてもらったスケジュール帳は真っ黒でした(後略)」と語るのは「久松」の大将。
部屋の力士が優勝すると、北海道からシャケ100本とか、2トントラックで賞品が次々に届くので、親方自ら大将のところに「おやじさん、頼むよ」ってお願いに来る。日頃迷惑をかけている近所の皆さんに配ってほしいと言うことね。そういう人情味のある話を聞けましたよ……って、まぁ、話を聞いたのは和田さんですけどね。僕は和田さんの付き人みたいなもんで……。
童心社より紙芝居が発売されました。『ぼうさまがくれたにわとり』と言います。もともと民話として残っているお話をもとに、津田真一さんが脚本を担当されています。
以下このブログで書くあらすじは、セリフも含めて津田さんの脚本ではなく、私がこんな話だったよな、と思い出しながら書いていますので、ホンモノの脚本とは話の流れ以外はずいぶんと違います。ホンモノを読みたい方は是非、買ってみてください。ホンモノはお子様や、紙芝居を演じる幼稚園の先生方のために、練りに練って書いてありますので。あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。でもおばあさんは体の具合が悪く近頃は床に臥せっていることも多く……。箱根七里は馬でも越すが、越すに越されぬ年の暮れ、と昔の人はよう言うたもんです。「ばぁさん、わしゃこの炭を町に行って売ってくるからなぁ」とじいさんは出かけていました。ちょうど時期的に今頃の話ですなぁ。
「炭はいらんかねー、炭はいらんかねー」とじいさんは必死になって売りましたが、ちっとも売れません。みんな冷たいのね。それとも炭はすでに買ってあるのでしょうか。そうだったら、この町の人は用意のいい人です。
そんなじいさんに声をかけた一人のぼうさま。みればボロボロの着物で、そこらへんの落ち葉などを集めてたき火をしていますが、寒そうです。じいさんの持っている炭を全部くれというので、じいさんもホクホク顔。ヤッター!ヤッター!。
ところが、金はないんだって言うんですよ、このぼうさん!ええ〜!
「その代わりと言ってはなんだが……」と傍に落ちていた木片を拾って、小刀で何かを削り出しました。
削り上げたのは、にわとりの木彫。ジャ〜ン!「これでどうかひとつ」「ワシにくださると……??」とじいさんは戸惑っています。だって、これじゃばあさんに何にも買って帰れないじゃないですか。今年の年の暮れは、マジで越せないかもしれません。
さぁ、これから話はどうなる!?絵的にはこの後の展開のシーンが気に入っているのですが、全部見せちゃうとアレだから……。
子どもっていうのは、紙芝居や絵本の気に入ったものを何度も「読んで!読んで!」とせがむヤツらなので続きの絵も見せたって大丈夫な気もするんだけれど、やっぱりそれは童心社の人に悪いので、この続きは紙芝居で!
この絵は紙芝居のケースに貼ってあるラベルの絵です。来年は酉年ですよね。ぴったりのお話です!というわけでよろしくお願いいたします。
小説現代で連載中、岡崎大五さん『世界満腹食べ歩き』。14回からはモノクロページに移動になった。岡崎さんの旅は素晴らしい。お世辞じゃなくて毎回面白い。イラストレーター冥利につきるというものだ。
しかし、この連載には私の鬼門の「地図」がある。
この連載をアップする時はいつもボヤいているが、地図を描くのが苦手だ。「だいたいでいいじゃん、だいたいで」そうやって今まで生きてきたのだが、地図にはそれが通用しない。
読者の立場で言えば、いい加減で雑な地図が、雑誌に載っていると興ざめしてしまう。雑誌の記事は、読者の想像力をかきたてるイリュージョンだ。地図もその一端を担っている。だからちゃんとやらないといけないわけ……。
アメリカのニューヨークの位置がわかるようにするには、まわりはどの程度の広域で描けば良いか?グリーンウッド墓地がわかりやすく見えるようにするにはどういう工夫が必要か。入れる地名はどこを選択するか?州の名前は欧文にして目立たなくした方がいいかも。綴りは間違っていないか?
こんな簡単な地図でさえ、雑な私には大変だ。
デザイナーの日下さん、担当の編集さん、校正の方に、ここが違う、ここをもう少しこう、誤字脱字あり……とピンボールマシンの球のようにあっちからこっちから修正の指摘を受け、やっとの事で描き上がって、掲載されるのが上の誌面のサイズ……。悔しいから今回から地図だけ別に載せる!でも、私は地図が苦手だけあって、残念ながらあまり楽しい感じに描けていない。
このモロッコと次のマレーシアは地図が簡単で助かった。岡崎さんの原稿が送られてきて、「あー面白かった」という感想の後に来るのは、地図が大変かどうか。簡単だとほっとする。
1960年代半ばに「イラストレーション」という言葉が日本で使われだし、すぐに「イラスト」と略されて使われるようになった。単に長ったらしいから略されただけなのかもしれないが、最初に略して使い出したのはどこだろう?一説によると「イラストマップ」がきっかけとか?いや、よく分からないが誰かがそう言っていた。
確かに「イラストレーションマップ」だと長すぎるし、絵のたくさん入った賑やかな地図は「イラストマップ」と軽く呼ぶ方が合っている気がする。今も雑誌ではイラストマップは目にするが、とても楽しいものだ。『世界満腹食べ歩き』で僕が描いているのは単なる地図で、「イラストマップ」と呼べるものではない。
その国の雰囲気は扉絵や料理の絵でも出すようにしているけど、それだけじゃ読者の方は脳内トリップできない。やっぱり地図がないと。グアテマラと聞いて、すぐに場所がわかる人はそう多くはない。こういう場合は広域図も広くとらないといけない。
別にきちんと地図を見てもらわなくても、パッと見て、「あ、あのへんの国の話なんだ」「字が読めないくらいに小さいけど、ちゃんとした地図っぽいね」と思ってもらえればそれでいい。いや、一字一句文字校正までしてやってるんだけど〜。それが我々の仕事だから〜。正確に描くことが地図の本当の難しさではない。地図の本当の難しいところは省略することだ、と前にも私は書いた覚えがあるが、このロンドンの地図ほど身にしみたことはない。
道路と鉄道と地下鉄が地獄。道だって本当はもっとたくさん通っているが、省略しないことにはゴチャゴチャになってしまう。でも都市らしさは欲しい。さすがのグーグルマップも省略はしてくれない。自分の知っている街だったら省略作業も見当がつきやすいが、ロンドンは6年前にちょっと行っただけ。よくわからん。
「この道はいらん」「ここはなくてもいいか。いや、この通りは、鉄道と交差しているから重要かも」私は血管をつまんで考え込む執刀医のようだ。そうやってなんとか省略手術を終えたつもりで、ラフを作って見せると
「地下鉄が良くないですね。ウォールター駅は鉄道、ウォールターではなくウォータールーです。チャリングクロスも鉄道。ヴィクトリア駅(ビクトリアでない)も鉄道。右横のシティ・テムズリンク駅らしきところも鉄道。リヴァプール(リバプールではない)・ストリート駅の駅名が該当のところと離れ過ぎここの駅には地下鉄は乗り入れていない」「大英博物館がここなのはおかしい」「ロンドン塔を、中にある建物のひとつであるホワイトタワーだけにするのは変かもしれない」「B&Bがそれらしく見えるようにアイコンを工夫して」とデザイナーの日下さんから細かくチェックが入る。日下さんは地図が大好き。いや〜ほんと、チェックする方もする方、ようやる!いや、お世話かけております。
で、たっぷり一日仕事になったロンドン地図であるが、掲載サイズはほぼ名刺くらいなんだよなぁ。でっかいサイズで地図描きたいなぁ。いや、描きたくない、描きたくない。
ウチの最寄の下高井戸駅の近くに「ぽえむ」という喫茶店があり、しょっちゅう利用しています。
かつては植草甚一さんもよく訪れていたとか 。
で、ウチの家の近くにもう一つ「ギャルリ・ド・ぽえむ」という喫茶店があります。「ギャルリ・ド・ぽえむ」は全国にある「ぽえむ」チェーンのオーナーの住居兼店舗らしいのです。そして名前からするとギャラリーにもなっているみたい。