伊野孝行のブログ

今月の露出情報

自分の文才の無さを噛み締めながら書いている「ぼくの神保町物語 イラストレーターの自画像」(「小説すばる」で連載中)も4回目。今回は「時代物(まげもの)発見」というタイトルです。私が20代後半の頃、時代物を描いている若者というのは、ほとんど見当たらなかったのでした。そんなら……

「オレが時代物挿絵の若手の旗手になってやる!」と心に誓ったものの、結果的に全くそうなれなかった。そんな悲しいお話です。時代物1時代物2今回の作文では、私の挿絵画家3大アイドル(小村雪岱、木村荘八、石井鶴三)のことを書いているのですが、読者様は興味あるでしょうか?興味がない人にもおもしろく読ませるのが文章のプロですが、私にそんな腕はまだありません。でも、絵を描く才能はきっと、たぶん、ある……かもしれない、と思って、3人の肖像画を入れておきました。石井鶴三の肖像この石井鶴三の肖像は描き下ろしです。なぜ、石井鶴三先生と私が温泉に入っているのでしょうか。興味のある方は「小説すばる」を立ち読みしてください。

喫茶店1はい、次行きましょう。今売っている「散歩の達人」は創刊20周年記念企画「喫茶100軒」です。前号が「食堂100軒」その前が「酒場100軒」でした。喫茶店2私が選んだ喫茶店はここ。どうしてこの店か?はい、もうみなまで言わない、言わない。

この特集、私のような世間的に無名な人間から、おお!あの人がこんなお店を!というビッグネームまで100人並んでいるのですが、個人的に感慨深いのは、大学の美術部の二年後輩だった沼由美子さんが、今や立派なライターになって、同じく紹介者として一緒に載っていることですね。

はい、次は談志もう放送は終わったけど、BS朝日の「ザ・ドキュメンタリー」で「天才落語家・立川談志」が放送されました。再放送もあるみたいですが、ウチはBSが映らない貧乏人なので詳しいことはわかりません。DVDをもらってやっと見れました。芝浜234談志師匠の名演「芝浜」の場面で絵が使われました。描き下ろしじゃなくてアリもんです。ネットで検索して見つけてくれたようです。ラッキーな不労所得でございます。

人生曼荼羅はつづく

プレジデント社の「WOMAN Online」というwebページでやっている人生相談の絵です。ひとつの人生相談に対して、本田健さんと河崎環さんのお二人が答えております。わたしは第三の回答者のつもりで絵を描いてます。一見、茶化しているような絵に見えるかもしれませんが、心から親身になっているのです。ではさっそく行ってみましょう〜!

【今回のご相談】
夫が実家に仕送りをしたいと言い出しました。義父母は浪費家で、仕送りをしても遊興費に消えるだけだと思われます。そもそも仕送りを考えられるような余裕が我が家にあるのは、共稼ぎで、さらに私がシビアに家計管理を行っているからですが、夫はその点に全く思い至っていません。私の両親は、身の丈に応じた質素な生活をしています。その姿を見る度に、夫に対するいら立ちが増します。どうすればいいでしょうか。4月14日b

【今回のご相談】
息子の保育園の送り迎えを、夫と分担しています。登園時の引き渡しで子供が別れをぐずると、夫は「お父さんが会社に行ってお仕事をしないと、○○くんはご飯を食べたりおもちゃを買ってもらったりすることができなくなるんだよ」とい言い聞かせますが、子供が「仕事とは、見返りのために嫌なことを我慢して行うもの」だと思いそうなのでやめてほしいです。私は「お母さんも○○くんと一緒にいたいけど、○○くんが保育園でお友達と一緒にいろいろなことに挑戦するように、お母さんも会社でお仕事を頑張りたい。一緒にお仕事をする人も待っている」と伝えています。本田さん、河崎さんはどう思われますか。4/21b【今回のご相談】
上司の能力が低く、かつ人格的にも問題があります。私は「人間関係とは、互いが互いに敬意を持つところから始まる」と考えているため、尊敬できない上司に意見伺いをしたり、その言葉に耳を傾けたりすることに強いストレスを感じます。上司が尊敬できない人物である場合、部下としてどのように受け止め、振る舞えばいいのでしょうか。4/28b

【今回のご相談】
40歳を目前に子供を授かりましたが、育て方に悩んでいます。思いやりのある子に育ってほしいなど願いにキリはありませんが、正直なところは「自分の食いぶちを稼げる大人になってほしい」と思ってしまいます。本田さんや河崎さんのように、自分の得意なこと、好きなことを仕事にして稼げる人に育てるためには、どうしたらいいですか。5/5b【今回のご相談】
嫌なことを後回しにしてしまいます。例えば、出社後メールチェックをする際に、順調にいっていない仕事に関するメールを読むのを最後にしてしまったりします。読んでみると、何の問題もなく、単なる取り越し苦労ということもよくあります。頭では嫌なこと、問題があることほど早くに着手した方がいいと分かっているのですが、気持ちと行動が付いていきません。どうしたらいいでしょうか。5/12b
 回答はこちらで読めます⇩

伊藤若冲のご近所さん

ただいま、絶賛発売中の「芸術新潮」の特集「若冲 水墨ニューウェーブ」で性懲りも無く絵を描いております。今回は伊藤若冲の近所には誰が住んでいたか?というご近所マップ、そのご近所さんとの交友録、若冲の年譜、の3パートを担当しました。IMG_1574写真が見にくいですね、これは本屋に行って買うしかありません。そうすれば18世紀後半の京都にはどんだけすごい人がひしめいていたかわかるでしょう。IMG_1576IMG_1577上の絵は年譜のパートに描いたもの。ご近所マップの人とはまた違います。エピソード1エピソード2エピソード3修正エピソード45修正ご近所さんとの交友録、「京都町絵師今昔物語」のマンガ。元になったエピソードをある程度脚色しています。なんとか読めるかもしれませんが、こんな荒い画像で見るより、買ったほうがいいですね「芸術新潮」を。マンガの「サザエさん」を見ると、絵も素晴らしいけど、字も読みやすくて感心します。私の字は読みにくい。研究しなければ。にわとり賑やかしのニワトリ。

ただいま東京都美術館で開催中の「生誕300年記念 若冲展」は東京では過去最大の若冲展だそうですが、待ち時間と混み具合を考えると怖気づいて、まだ行ってません。

らくがきみたいに

今週のブログは芸術新潮の5月号に描いた、伊藤若冲とご近所さん(与謝蕪村、円山応挙、池大雅、曾我蕭白、長沢芦雪……などの絵師をはじめ、そうそうたるメンツが目と鼻の先に住んでいた)の交友録(例によってマンガにしたもの)を紹介しようと思っていたが、昨日発売なのに未だ我が家に到着せず、仕方がないので、別のものにしよう。

しかし、特に見せたいものもなく……困った挙句に、壁に貼ってある「らくがき」でもアップすることにいたします。このブログは内容よりも、毎週更新することが目的だからです。本末転倒?いいんです。毎週火曜に決まって更新することこそが、私にとっては大事なのです。……と言いつつ、来週はゴールデンウィークで誰も見てないだろうから、更新は休もうかなぁ。 みんなこれは寝転びながら、らくがきしていたものであります。約一年ほど前に描いたもの。犬犬の顔ですな。お口口開けシリーズとなぜかタヌキ。お座りらくがきは頭よりもちょっと先に手が動くのがいいんです。これらは10年ほど前に描いた記憶があります。ぶしこれはもっと古い、15年くらい前だったでしょうか。

なんとなく捨てるに忍びないらくがきを、本棚の側面などに磁石でとめてあるのですが、別にどうってことないただのらくがきです。描こうと思えばいくらでも描ける。そして、らくがきに関しては恐るべきことに、ほとんど進歩がない。テキトーに描いてるから、努力とか進歩とかと無関係だし、むしろ無関係でありたい。しかし、仕事の絵となると、なかなからくがきのようには描けない。

ちょっと前に、茂田井武トークをご一緒した広松由希子さんに、「赤とんぼ」という古い雑誌(昭和21年8月号)を見せてもらいました。そこに長沢節の絵が載っていたのですが……まさにらくがきのような気持ち良さがあって良かったです。いわゆる長沢節の絵として知られる達者なデッサンではなく、むしろ達者を警戒している感じです。IMG_1265 IMG_1266 IMG_1272

 

おしゃべり/絵って何?

講談社の「ベストカー」(日本で最も発行部数の多い車の雑誌だという)で連載されている藤田宜永さんのエッセイに絵を添えています。タイトルは『僕のおしゃべりは病気です』。藤田宜永さんは、長髪にサングラス、ロッカー風ないでたち……にもかかわらず、文壇一のおしゃべり男であるらしいのです。

そんな藤田さんが、車の雑誌だけど、車とは無関係におしゃべりについて綴る文章が、これまた調子が良く、読んでいて気持ちがいいのです。スラスラ読めて、読み応えがあり、切実な気持ちも伝わってきます。さすがプロ!と毎回思います。

僕はおしゃべりな人が好きだし、自分もどっちかというとおしゃべりな人間かもしれません。実際、楽しいおしゃべりの時間に勝るものってそうそうないです。おしゃべり5回おしゃべり6回おしゃべり7回おしゃべり3おしゃべり8回おしゃべり9回担当さんからは、「藤田さんの文章に書いてあることを絵にしなくてもいいですよ。好きにやってください。ラフ?いりません、いりません」と、ありがたいことに、最高度の信頼を寄せていただいております。担当さんのメールの文章もこちらの気持ちを乗せるのがお上手で、楽しいのですが、褒めたついでにサラッと注文が入っていたりするのもニクいところです。おしゃべりの楽しさを絵に表そうと、幾分かラフなタッチで描いております。IMG_1550さて、プロ中のプロ藤田宜永さんとはうってかわって、プロの世界に横入りした私の拙い作文です。「小説すばる」で連載中の「ぼくの神保町物語」、第3回は「絵ってなんだろう?」というタイトルにしてみました。ずいぶん大きく出ましたね〜。

セツ・モードセミナーに通っていた頃の話を今回も書いています。長沢節は「デッサンは絵の基本じゃない、絵はデッサンからの解放だ」と言いました。デッサンは絵の基本だと思い込んでいた自分にとって、それは衝撃の言葉でした。では絵とはいったいなんなのでしょうか……気になる方は是非立ち読みでも。IMG_1551IMG_1552IMG_1553いやー、絵の話って書くのむつかしい。これが美術系の雑誌であったり、イラストレーションの専門誌だったら、読者もある程度限定されます。基本的に絵に興味がある人が読んでいるわけですね、そういう雑誌は。ところが文芸誌だと、絵に興味がない人にも読んでもらわなくてはならないのです。

最初に書いたものを担当さんに読んでもらったら、「なんか演説してるみたいだね〜」と言われ、全面的に書き直しました。通りすがりの皆様の足を止め、耳を貸してもらためには、まず主人公(私)に感情移入してもらわなくてはいけないのでした。そりゃそうだね。

人生曼荼羅/蕭白トーク

プレジデント社の「WOMAN Online」というwebページでやっている人生相談の絵です。ひとつの人生相談に対して、本田健さんと河崎環さんのお二人が答えております。わたしは第三の回答者のつもりで絵を描いてます。一見、茶化しているような絵に見えるかもしれませんが、心から親身になっているのです。前回から間があいてしまい、季節ネタがかなり古くなってしまいましたが、ちょっと時間を振り返りながらご覧ください。

では、最初の相談者の方、どうぞ〜!人生曼荼羅12-2あ【今回のご相談】
同僚から「クリスマスイブの日の遅番勤務を代わってほしい」と頼まれました。特に予定は入っておらず、断る理由もないため引き受けてしまいましたが、なんだか私だけ損をしているような気がしてモヤモヤします。理由がなくても、断った方がよかったのでしょうか?人生曼荼羅12-3あ【今回のご相談】
38歳、独身の会社員です。赤ちゃんや家族の写真が入った年賀状が届くお正月は、幸せ自慢をされているような気持ちになり、鬱々(うつうつ)としてしまいます。同時に、友人知人の幸せを心から祝えないことに自己嫌悪を感じます。どうしたらいいでしょうか?人生曼荼羅12-4あ【今回のご相談】
私は年齢や肩書などを聞くと、特に自分より目上の人に対しては、つい力が入ったコミュニケーションになってしまいます。力を抜いて、誰とでもコミュニケーションを取れるようになるにはどうしたらいいでしょうか?人生曼荼羅1−1あ【今回のご相談】
台所の洗剤の泡立ちが悪いと思っていたら、義母に水で薄められていました。義母は洗剤が毒だと思っており、使うのは最小限にすべきと信じています。実際、義母が洗った食器は汚れが落ちていないことも多いため陰で洗い直したりしているのですが、当て付けのようになってしまうので、おおっぴらにもできません。どうしたらいいでしょうか。人生曼荼羅1−2あ【今回のご相談】
会社に、あいさつをしても無視する女性の先輩がいます。「何か悪いことをしたかな?」と考えてみたのですが、思い当たる節がありません。あいさつをしてくれない先輩に対して、これから先もずっとあいさつをし続けるしかないのでしょうか。またあいさつをし続けた方がよいのでしょうか。人生曼荼羅1−3あ【今回のご相談】
夫が人を見下すような態度や物言いをします。私の両親に対してもそうです。大人なので今更変わらないと諦めていますし、そんな相手と結婚した自分にも責任があると覚悟を決めています。ただ、小学1年生の息子が夫のような大人になってしまうのではないか、と心配です。子供に対して「お父さんみたいな人になってはダメよ」という言い方をするのも、教育上よくない気がします。何かいい方法はないでしょうか。人生曼荼羅1−4あ【今回のご相談】
バレンタインデーになると、夫が会社でチョコレートをたくさんもらってきます。お返しを買うのは私で、費用の出所は家計です。夫のメンツにも関わるため、女性が「おっ!」と思うようなお返しを毎年用意していますが、「なぜ私が義理チョコ騒ぎに付き合わねばならないのだろう」とむなしくなります。人生曼荼羅2−1あ【今回のご相談】
上司の言い間違いが多く、困っています。「シミュレーション」を「シュミレーション」、「コピペ(コピー&ペースト)」を「コペピ」といった具合です。何度も耳にするので、たまたま間違えたのではなく覚え間違いをしていると思います。いちいち指摘するのも差し出がましいので控えていますが、一緒に客先に出向くことも多く、上司が口を開く度にひやひやします。指摘した方がいいのでしょうか? また上手な伝え方がありましたら教えてください。人生曼荼羅2−2あ【今回のご相談】
お金を貯めるのが苦手です。20代の頃から貯めよう貯めようと思いながら、ズルズルと30代半ばまで来てしまいました。お金を借りたりすることはありませんが、お給料をもらったらもらっただけ使ってしまいます。使い道は洋服、友人との飲食、ジムや習い事の月謝などです。転職する前は、年収が今より3割ほど少なかったので、その少ない方の収入額でも十分にやっていけるはずなのですが……。どうしたらいいでしょうか?人生曼荼羅2-3あ【今回のご相談】
会社の後輩が優秀過ぎて困っています。私が彼女を指導しなければならない立場なのですが、一を聞いて十を知るタイプのため、指導する隙がありません。時には不十分なところもあるのですが、その点について私はさらに不十分なため、恥ずかしくて指導できません。毎日会社に行くのが憂鬱(ゆううつ)です。どうしたらいいでしょうか。人生曼荼羅2-4あ【今回のご相談】
人のアイデアを盗む同僚に腹が立ちます。私は人のアイデアを自分の仕事に使う場合は、「○○さんにアイデアをいただきました」など、言葉を添えるようにしています。しかしそうしていると周囲から「仕事ができない人」と見られてしまうのではないかと不安です。アイデアを盗むのと、出典元を明らかにするのとでは、どちらがよいと思いますか?3月17日あ【今回のご相談】
スマホが手放せません。会社で仕事をしている時間以外はスマホ漬けです。LINEやSNSで友人知人との交流を楽しむわけではなく、ニュースサイトや掲示板をひたすら見ています。一人暮らしですが、食事はコンビニで買って済ませており、家事は洗濯など必要最低限のことだけしかしていません。このままではあらゆる意味でダメになってしまいそうと恐怖を感じますが、やめられません。どうしたらいいでしょうか。3月24日あ【今回のご相談】
お金が怖くて使えません。先行きが見えない昨今、老後が不安なため、稼いだお金はほぼ貯金しています。もともと地味で、交友関係も広くないため、日々の質素な生活自体は苦になりませんが、何のために仕事をして稼いでいるのだろう、生きているのだろうという思いで胸苦しくなります。4月7日あ【今回のご相談】

人に頼ることが苦手です。何か課題を与えられたり、壁にぶつかったりするとすぐに「自分で解決しなくては」と考えてしまい、人に頼るということに思い至りません。人の力を上手に借りて、高いレベルで仕事の目標を達成している同僚を見ると、「ずるい」という気持ちとともに、自分もそうなりたいと感じます。どうしたらうまく人に頼れるようになれますか。

はい、お疲れ様です!最後まで読んだ人はエライ!自分でも記事を画像をアップしながら、長いよ〜!と思ってしまいました。

最後まで読んでくれた人には、とっておきの情報をお知らせしましょう。fa20120531a2a

来る2016年6月4日土曜日18時から

南青山の「本の場所」で「曾我蕭白肉筆画展」において南伸坊さんとトークします。曾我蕭白の本物の絵の前で蕭白についてしゃべる会。円山応挙の絵も出るそうです。参加料1000円ポッキリ。上の絵はボストン美術館にあるやつだから見れないですよ。

「本の場所」は川崎徹さんがお仲間とやっておられるスペースで、そのお仲間は川鍋暁斎や曾我蕭白のコレクターの方だそうです。というわけで、そのコレクションを眺めつつ、お話をする会です。

要予約↓

本の場所、蕭白トーク受付はこちらまで。