伊野孝行のブログ

最近のモノクロ4つ

今週は去年から今年に描けてやったモノクロの仕事を4つただ並べるだけの手抜き更新。まずは「小説現代」の梶よう子さんの小説「立身いたしたく候」より。つづきまして倫理研究所発行「新世」の「思い出オルゴール」というページに描いた瀧廉太郎作曲の「箱根八里」の絵。つづきまして「日経プレミアPLUS」に描いた、宴会のリテラシーの絵。たとえ宴会と言えどもそこは出世の糸口がある、宴会をあやつるくらいの心構えが大切だという内容だったきがする。おしまいは「中央公論」に描いた「同窓会特集の扉絵」より。ではみなさんさようなら。

仕事の半分は

去年に出た本ですが、立川談志楼さん「談志が死んだ」(新潮社/装丁 田中愛子さん)福井栄一さん「上方学」(朝日文庫/装丁 桂川潤さん)のカバーを描きました。この2つの仕事に共通していたことは、「談志が死んだ」では編集者に、「上方学」では著者にカバーのイメージがハッキリとあり、僕の作業はただ絵におこすだけで良かったということです。「談志が死んだ」は談志が愛飲してたスコッチウィスキー「J&B」に戒名「立川雲黒斎家元勝手居士」の千社札を貼り、「J&B」を立川談志のイニシャル「T&D」に変えて、家紋を入れる。「上方学」は奈良の大仏、京都の舞妓さん、大阪のきつねうどんをそれぞれ描く。「立川雲黒斎家元勝手居士」の文字はデザイナーの田中愛子さんにそれっぽいフォントで出してもらってなぞりました。田中さんは「今回は、伊野さんのいつもの持ち味を活かせなくてすみません」というようなことをおっしゃってくれましたが、そんなことありません。内心、「ラッキー!」と思ってました。なぜってアイデアを考える必要がないから。楽チン!そう思うと、僕に限らずイラストレーターの仕事は、半分はアイデアを絞り出すことですね。頭脳労働です。いや、イラストレーションに限らず、絵はすべてそうか。

 

 

カリカチュア

「画家の肖像in大阪」に来てくださった皆様、ありがとうございました。本来なら滞廊してご挨拶すべきところ、この場を借りてお礼申し上げます。えー、さて、今日は「カリカチュア」です。これは先日おこなわれた日下潤一さんの個展「絵と本3」にて発表したポスターと冊子に描いたものです。え?他人の個展でなぜ僕が作品を発表するかって?それは、日下さんの「思いつき」を形にする展覧会でもあるからです。その「思いつき」とは、2年前に日下さんや友達とニューヨークに行ったとき、メトロポリタン美術館の一室で「カリカチュア」の展覧会をやっていて、それで「伊野くん、カリカチュア描いたら?」と日下さんが思いついたというわけです。今回は「絵と本」ということで「本」にまつわるカリカチュアにしてみました。読書好きの二宮金次郎さんが、スマホに夢中の若者とすれ違うの図。その後日談。地下鉄の乗客が読書に夢中、さて二宮金次郎さんは…?かねてから頭の良さをいわれているカラス。ちょっと早起きしてください。あなたの捨てた本を読みあさってるみたいです。カラスは確実に進歩してます。文字は絶対に読めてます。国境警備隊の兵士が領土問題も忘れるほどに読書に夢中。こんな時間は最高ですよね。人生の終わりはどんな本を読んでむかえたいか。僕は、2度途中で挫折した未完の長編、中里介山「大菩薩峠」かな。山田風太郎の「人間臨終図鑑」を読んで、客観的になって平静をよそおいたいかも。最後はこれまでの登場人物が自分のおすすめの本をもってお見舞いにきました。今回はなんとなくカトゥーンのようなカンジに仕上げてみました。

 

 

2/1までやってます

さて、只今大阪のTHE14thMOONで開催されている「画家の肖像in大阪」。お客さん来てるでしょうか?来て見て、そして画集を買って下さってくださることを東京から祈っています。初日の24日はオープニングイベントがありました。定員を上回るお客さまに来ていただき、無事盛り上がりましたことをご報告いたします。まずは私とチャンキー松本さんによる紙芝居「紙芝居ゴッホ物語」。チャンキーさん、イラストレーターの域をとうに超えてしまった芸人です。舞台で鍛えた喉の持ち主、声が響き渡ります。私は対照的に素人丸出しでした。「紙芝居ゴッホ物語」は展示内容とはかけはなれた単にくだらない話で、日本にやってきたゴッホがチャン兵衛なる男に拾われ、彼のファクトリーでデュシャン、レオナルド・ダ・ヴィンチらの先輩とともに絵の修行をさせられます。ファクトリーの中でも一番幅を利かせているのが村上隆先輩で、来る日も来る日も、しごかれ続けたゴッホはチャン兵衛の一人娘お菊さんと許されぬ恋に落ち(濡れ場あり)逃走しますが、お菊さんのふんどしの干し方が原因ですぐにみつかり拉致監禁、やっと性根を入れ替えて日本の心「詫び、寂び、萌え」を習得し、村上先輩にも認められて、絵を描くのが楽しくなってくる…といういたってくだらないナンセンスな話です。画集を買って下さったガンジー石原さんに紙芝居のスケッチブックを差し上げてしまいました。いらなかったかな…。つづきましてすぐ近くのギャラリーセンチュニアルで同時期個展開催のあおきひろえさんの落語。あおきひろえさんの芸名は「大川亭ひろ絵」これはかの桂文枝師匠からつけてもらった芸名です。演目は「桃太郎」。噺の内容とあおきさんの人柄がぴったりでとてもかわいらしいお噺を聞けました。続いて最後は「画家の肖像を語る」聞き手はチャンキーさんと、ハモニカブックスの吉田宏子取締役。一直線にならんでしゃべるからチャンキーさんの方を向いてしゃべると、吉田さんのほうをまったく見れませんでした。吉田さんが気をぬいている一瞬です。この写真しかなかったので…ごめんね。ジャコメッティ風ジャコメッティの肖像もお待ちしています。「画家の肖像」はハモニカブックスより発売中〜!こちらからでも買えまっせ!クリック!「画家の肖像」と同時開催の人気作家による集客コーナー「画ッ奏新聞あんさんぶる。」はギッシリこんな感じ。2/1までやってますので、大阪近辺のみんさん、よろしくおねがいします!
さてうってかわってこちらは神田の神保町、私も参加している「日下潤一個展絵と本3」も開催中!こちらは今日29日まで!急いでね〜。
ポスターがいっぱい、冊子がいっぱい、そして家具もデザインしておられます。個展なのに参加人数もたくさん。もりだくさん。日下さんの新しい提案、運動のはじまりを見に行きましょう〜。

自画像/24日から!

厳選されたモノを紹介する「GoodsPress」という雑誌で、「ヴァン・ゴッホ色鉛筆」なるものを使って、初心者向けに、お手本として絵を描く、というお仕事をした。「ヴァン・ゴッホ色鉛筆」はゴッホの名前を冠してあるが、特に関係はないようだ。しかし、ゴッホ風のタッチで絵を描いてみることになった。初心者が風景や花を描いてもたいていつまらない結果に終わる。何もエラっそうな意見ではなく、僕自身も風景や花に主題を見つけることは難しい。ゴッホの「ひまわり」や「はね橋」が傑作なのは、動機が結晶しているからだ。なので、僕のお勧めするのは「自画像」。これなら誰でもそれなりに面白いものが描けるのではないかと思うし、見せられる方も感想が言いやすい!この自画像はさっそく友人の間で物議をかもした。「なぜ、他人の顔を描く時と違って、自分の顔は四割増しに描くのか」と。そう、僕は今までも、仕事で描いた似顔絵を著者自らのチェックの段階で、作家のNさんからは「悪意を感じる」タレントのOさんからは「なにもこんなにジジィに描かなくっていいじゃない」と編集者を通して感想をいただいた経験がある。お二方とも僕は大ファンで著作も熟読しているし、自分なりに愛をこめて描いたつもりなのだが、あらためて似顔絵、肖像画の難しさを知り、反省の日々をおくった。僕自身、友達に描かれた似顔絵などを見るとイヤな気持ちになることもあるので、よくわかる。しかし似顔絵はまぎれもないひとつの「客観」であり、受け入れるかどうかで器の大きさも知れるというものだ。…などと語る人間が、自分のことは四割増しに描くとは、よほど小さい人間で、自分を客観視するのがコワいに違いない。…自画像というのは、いろいろ面白いものなのだ。一応ちゃんとゴッホの模写なども描いておきました。たしかに、色鉛筆はゴッホタッチを描くのには向いてるかも知れない。ところで、僕の拙著「画家の肖像」の原画展が24日から大阪でひらかれます。厳密に言うと原画だけではなく描き下ろしも含まれます。「画家の肖像」も自分としては愛をこめて描いてるつもりだけど本人達は怒るかもしれない。ほとんどが故人なのでその心配もないが。24日は楽しい楽しいオープニングイベントもあります。一夜かぎりの紙芝居「ゴッホ物語」(たぶん二度と再演はない)もあるし、落語もあるし、トークショーもあるし、それにワンドリンク付いて1000円!安っ!まだお席ございますので、THE14thMOONに是非問い合わせを!THE14thMOONのサイトはこちら!

そうそう、個展のときに同時開催する「画ッ奏新聞あんさんぶる。」のサイトも作ってみました。もともと手配りだけのフリーペーパーですがひよってWEB版を作ってみたのです。24日のイベント当日は「画ッ奏新聞あんさんぶる。」の参加作家さんも多数来ますので、楽しく歓談いたしましょう。「画ッ奏新聞 あんさんぶる。」WEB版はコチラ!今回の大阪展でとても助けてもらっている、いぬんこさんの展示が大阪の梅田、MARUZEN&ジュンク堂書店にてあります「おかめ列車」です。今の絵本業界でまったくの異色作家、おかめなのになぜか相撲取りみたいな顔、大好きです。旦那さんのチャンキー松本さんとのイベントが26日にあります。コテコテてんこ盛りのイベントなのでお子様連れで是非!おかめ列車嫁に行くフェアはコチラ!

 

 

浪花と江戸で展覧会!

まいど!1月23日〜2月1日、大阪の老舗ギャラリーthe14thmoon で「画家の肖像in大阪」をやります。ハモニカブックスより発売された伊野孝行の画文集「画家の肖像」の原画展です。大阪方面のみなさま是非お来しやす!今回はいろんな意味でてんこ盛り。まずその1!the14thmoonの並びのギャラリーCENTENNIAL(二つのギャラリーは同じ経営)ではあおきひろえさんの個展も同時期開催!なので合同DMにしていただきました。さらにてんこ盛りその2!the14thmoonでは私の個展と同時に「画っ奏新聞 あんさんぶる。」の原画展もやっています。「画っ奏新聞 あんさんぶる。」とは最近はじめたフリーペーパーです。有り体に申しますと、要は大阪で知名度のない私が個展をやっても誰も来てくれないだろうし、せっかく大阪に行くのだから、お友達の力を最大限にお借りして、何か楽しいことして盛り上げよう!という主旨でございます。ややこしくてすいません。「あんさんぶる。2号」の表紙。今回は落語の「上方噺」をテーマに総勢13名で発刊します。参加作家と描いた噺→森英二郎さん「いかけや」、寺田順三さん「あくびの稽古」、あおきひろえさん「初天神」、福田利之さん「道具屋」、タラジロウさん「子ほめ」、田嶋健さん「七度狐」、海谷泰水さん「千両みかん」、村上テツヤさん「時うどん」、霜田あゆ美さん「二番煎じ」、丹下京子さん「地獄八景亡者戯」、チャンキー松本さん「貧乏花見」、いぬんこさん「犬の目」、伊野孝行「らくだ」でございます。先日印刷終えてきました。すごく面白いのができました。フリーペーパーなので0円!原画はカラーですので、あわせてお楽しみ下さい〜!販売もしてます〜。

さらにてんこ盛りその3!オープニングイベントが1月24日、19時よりあります。◎あおきひろえさん(実は大川亭ひろ絵という芸名を持つ噺家でもある!)の落語◎チャンキー松本&伊野孝行の紙芝居「ゴッホ物語」◎伊野孝行トークショー「画家の肖像を語る」聞き手吉田宏子 料金1000円ワンドリンク付き。定員30名、ご予約はthe14thmoonまで!the14thmoonのサイトはこちら!

は〜、ややこし、ややこし、わてほんまによういわんわ〜。でも必ず楽しくなるので来てね♡さて、今度はお江戸のお知らせ。「画家の肖像」のブックデザインをお願いした(だけではなく、日頃わたしを叱咤激励してくれる恩人)日下潤一さんの個展が1月23日〜29日まで神保町のスタジオイワトで開かれます。絵は森英二郎さんです。私もカリカチュアの冊子、ポスター…などで参加しております。カリカチュアは「本」にまつわるテーマにしました。チラみせするとこんなカンジ。地下鉄のなかの二宮金次郎。みんなが本を読んでるのに、金ちゃんはスマートフォンに夢中…の図。関連イベントもあります!ご予約、お問い合わせはスタジオイワトへ。スタジオイワトのサイトはこちらです!

私の方からは以上であります!みなさんよろしく!