去年に出た本ですが、立川談志楼さん「談志が死んだ」(新潮社/装丁 田中愛子さん)福井栄一さん「上方学」(朝日文庫/装丁 桂川潤さん)のカバーを描きました。
この2つの仕事に共通していたことは、「談志が死んだ」では編集者に、「上方学」では著者にカバーのイメージがハッキリとあり、僕の作業はただ絵におこすだけで良かったということです。「談志が死んだ」は談志が愛飲してたスコッチウィスキー「J&B」に戒名「立川雲黒斎家元勝手居士」の千社札を貼り、「J&B」を立川談志のイニシャル「T&D」に変えて、家紋を入れる。「上方学」は奈良の大仏、京都の舞妓さん、大阪のきつねうどんをそれぞれ描く。「立川雲黒斎家元勝手居士」の文字はデザイナーの田中愛子さんにそれっぽいフォントで出してもらってなぞりました。田中さんは「今回は、伊野さんのいつもの持ち味を活かせなくてすみません」というようなことをおっしゃってくれましたが、そんなことありません。内心、「ラッキー!」と思ってました。なぜってアイデアを考える必要がないから。楽チン!そう思うと、僕に限らずイラストレーターの仕事は、半分はアイデアを絞り出すことですね。頭脳労働です。いや、イラストレーションに限らず、絵はすべてそうか。
厳選されたモノを紹介する「GoodsPress」という雑誌で、「ヴァン・ゴッホ色鉛筆」なるものを使って、初心者向けに、お手本として絵を描く、というお仕事をした。「ヴァン・ゴッホ色鉛筆」はゴッホの名前を冠してあるが、特に関係はないようだ。しかし、ゴッホ風のタッチで絵を描いてみることになった。初心者が風景や花を描いてもたいていつまらない結果に終わる。何もエラっそうな意見ではなく、僕自身も風景や花に主題を見つけることは難しい。ゴッホの「ひまわり」や「はね橋」が傑作なのは、動機が結晶しているからだ。なので、僕のお勧めするのは「自画像」。これなら誰でもそれなりに面白いものが描けるのではないかと思うし、見せられる方も感想が言いやすい!
この自画像はさっそく友人の間で物議をかもした。「なぜ、他人の顔を描く時と違って、自分の顔は四割増しに描くのか」と。そう、僕は今までも、仕事で描いた似顔絵を著者自らのチェックの段階で、作家のNさんからは「悪意を感じる」タレントのOさんからは「なにもこんなにジジィに描かなくっていいじゃない」と編集者を通して感想をいただいた経験がある。お二方とも僕は大ファンで著作も熟読しているし、自分なりに愛をこめて描いたつもりなのだが、あらためて似顔絵、肖像画の難しさを知り、反省の日々をおくった。僕自身、友達に描かれた似顔絵などを見るとイヤな気持ちになることもあるので、よくわかる。しかし似顔絵はまぎれもないひとつの「客観」であり、受け入れるかどうかで器の大きさも知れるというものだ。…などと語る人間が、自分のことは四割増しに描くとは、よほど小さい人間で、自分を客観視するのがコワいに違いない。…自画像というのは、いろいろ面白いものなのだ。
一応ちゃんとゴッホの模写なども描いておきました。たしかに、色鉛筆はゴッホタッチを描くのには向いてるかも知れない。ところで、僕の拙著「画家の肖像」の原画展が24日から大阪でひらかれます。厳密に言うと原画だけではなく描き下ろしも含まれます。「画家の肖像」も自分としては愛をこめて描いてるつもりだけど本人達は怒るかもしれない。ほとんどが故人なのでその心配もないが。24日は楽しい楽しいオープニングイベントもあります。一夜かぎりの紙芝居「ゴッホ物語」(たぶん二度と再演はない)もあるし、落語もあるし、トークショーもあるし、それにワンドリンク付いて1000円!安っ!まだお席ございますので、THE14thMOONに是非問い合わせを!THE14thMOONのサイトはこちら!

そうそう、個展のときに同時開催する「画ッ奏新聞あんさんぶる。」のサイトも作ってみました。もともと手配りだけのフリーペーパーですがひよってWEB版を作ってみたのです。24日のイベント当日は「画ッ奏新聞あんさんぶる。」の参加作家さんも多数来ますので、楽しく歓談いたしましょう。「画ッ奏新聞 あんさんぶる。」WEB版はコチラ!
今回の大阪展でとても助けてもらっている、いぬんこさんの展示が大阪の梅田、MARUZEN&ジュンク堂書店にてあります「おかめ列車」です。今の絵本業界でまったくの異色作家、おかめなのになぜか相撲取りみたいな顔、大好きです。旦那さんのチャンキー松本さんとのイベントが26日にあります。コテコテてんこ盛りのイベントなのでお子様連れで是非!おかめ列車嫁に行くフェアはコチラ!

まいど!1月23日〜2月1日、大阪の老舗ギャラリーthe14thmoon で「画家の肖像in大阪」をやります。ハモニカブックスより発売された伊野孝行の画文集「画家の肖像」の原画展です。大阪方面のみなさま是非お来しやす!今回はいろんな意味でてんこ盛り。まずその1!the14thmoonの並びのギャラリーCENTENNIAL(二つのギャラリーは同じ経営)ではあおきひろえさんの個展も同時期開催!なので合同DMにしていただきました。
さらにてんこ盛りその2!the14thmoonでは私の個展と同時に「画っ奏新聞 あんさんぶる。」の原画展もやっています。「画っ奏新聞 あんさんぶる。」とは最近はじめたフリーペーパーです。有り体に申しますと、要は大阪で知名度のない私が個展をやっても誰も来てくれないだろうし、せっかく大阪に行くのだから、お友達の力を最大限にお借りして、何か楽しいことして盛り上げよう!という主旨でございます。ややこしくてすいません。
「あんさんぶる。2号」の表紙。今回は落語の「上方噺」をテーマに総勢13名で発刊します。参加作家と描いた噺→森英二郎さん「いかけや」、寺田順三さん「あくびの稽古」、あおきひろえさん「初天神」、福田利之さん「道具屋」、タラジロウさん「子ほめ」、田嶋健さん「七度狐」、海谷泰水さん「千両みかん」、村上テツヤさん「時うどん」、霜田あゆ美さん「二番煎じ」、丹下京子さん「地獄八景亡者戯」、チャンキー松本さん「貧乏花見」、いぬんこさん「犬の目」、伊野孝行「らくだ」でございます。先日印刷終えてきました。すごく面白いのができました。フリーペーパーなので0円!原画はカラーですので、あわせてお楽しみ下さい〜!販売もしてます〜。
さらにてんこ盛りその3!オープニングイベントが1月24日、19時よりあります。◎あおきひろえさん(実は大川亭ひろ絵という芸名を持つ噺家でもある!)の落語◎チャンキー松本&伊野孝行の紙芝居「ゴッホ物語」◎伊野孝行トークショー「画家の肖像を語る」聞き手吉田宏子 料金1000円ワンドリンク付き。定員30名、ご予約はthe14thmoonまで!the14thmoonのサイトはこちら!
は〜、ややこし、ややこし、わてほんまによういわんわ〜。でも必ず楽しくなるので来てね♡さて、今度はお江戸のお知らせ。「画家の肖像」のブックデザインをお願いした(だけではなく、日頃わたしを叱咤激励してくれる恩人)日下潤一さんの個展が1月23日〜29日まで神保町のスタジオイワトで開かれます。
絵は森英二郎さんです。私もカリカチュアの冊子、ポスター…などで参加しております。カリカチュアは「本」にまつわるテーマにしました。チラみせするとこんなカンジ。地下鉄のなかの二宮金次郎。みんなが本を読んでるのに、金ちゃんはスマートフォンに夢中…の図。
関連イベントもあります!ご予約、お問い合わせはスタジオイワトへ。スタジオイワトのサイトはこちらです!
私の方からは以上であります!みなさんよろしく!