2020.10.6
僕とラジオとトレンディと
「日経トレンディ」の特集「ラジオ大研究」で、ラジオ史に輝くパーソナリティー達の似顔絵を描きました。
出版業界でもっともラジオを聴いているのはイラストレーターなのではないかと思う。ライターや編集者は文章を書いたり読んだりしないといけないので、ラジオを聴きながらだと仕事ができない。デザイナーは独立してる場合はいいけど、会社でコキ使われている間は呑気にラジオなんかつけてられないでしょう。
イラストレーターは家で一人で仕事してるし、絵は言語の脳ミソとは違うミソを使うので、ラジオを聴きながら仕事できる。
文化放送「セイ!ヤング」の谷村新司。この番組を聴いてた人は僕より世代が上の方ですね。
僕の実家は、食事中はテレビは禁止というか、飯を食う部屋にテレビはなかった。そのかわりラジオはほぼつけっぱなしで、NHKだった。中学生になると妹と一緒の子ども部屋から、自分の個室になった。はじめてのプライベート空間。晩ごはんを食べ、部屋に戻ると意外にすることがない。
ラジカセについているラジオをつけてみた。はじめて積極的にラジオを聴いた。いつしかCBCラジオ(中部日本放送。主に東海地方で聞ける)の「小堀勝啓のわ! Wide とにかく今夜がパラダイス」という番組を中毒的に聴くようになっていた。「わ! Wide 」は絶大な人気を誇るラジオ番組だったが、そんなことは知らないで聴いていた。だいたい小堀勝啓という人も知らない。今でもはじめて聴く番組は、誰がしゃべっているのかわからないことがある。そこがいい。
文化放送「さだまさしのセイ!ヤング」のさだまさし。「セイ!ヤング」の打ち切りを知って激怒したさだまさしは「さだまさしのセイ!ヤング」として復活させた。
小堀勝啓には局アナらしくない自由な発言と自己主張があった。カーディガンとメガネが似合うお兄さん的キャラ。都会的な雰囲気(といっても名古屋だけどね)。小堀勝啓はたまにゲストに来る田原俊彦(当時アイドルの頂点にいた)を「トシ」と呼んで非常に親しげだった。田原俊彦も「小堀さ〜ん!」と親しい。どこまで本当に仲がいいのかわからないが、小堀勝啓は親しみのある感じを出すのが上手い(逆になれなれしすぎる雰囲気に途惑うゲストもいたような)。ローカルとはいえ影響力のある人気番組なので、東京からのゲストも暖簾をくぐるように、ちょっと腰を落として入って来るような感じがした。
中学のクラスにウメモト君という男子がいた。彼はどうやら僕のことを嫌いなようだった。ところがある日、ウメモト君も「わ! Wide 」もリスナーであることが判明し、僕たちは一気に仲良しになってしまった。それまで友達と昨日見たテレビの話はしてたけど、昨日聴いたラジオの話ってしたことがなかった。ラジオは一人で聴いている気がするのだ。
ニッポン放送「オールナイトニッポン」のビートたけし。「オールナイトニッポン」を聴いてたといってもいつも途中で寝ちゃうから。はじまる前に寝ちゃうときもあるし。だって中高生なんだもん。
「わ! Wide 」をきっかけに「オールナイトニッポン」も聞くようになった。聞いていた当時の「オールナイトニッポン」のパーソナリティは、月曜日が中島みゆき→デーモン小暮、火曜日がとんねるず、水曜日が小峰隆生→小泉今日子、木曜日がビートたけし、金曜日がサンプラザ中野→鴻上尚史、土曜日が笑福亭鶴光だったと記憶する。
この中で誰これ?と思うのは水曜日の小峰隆生だろう。「週刊プレイボーイ」の編集者だったはず。「オールナイトニッポン」の居並ぶ有名人パーソナリティーの中にポコっと入ってるフリーの編集者。後年、神保町の喫茶店でバイトしているときに、小峰隆生が来た。「あ、小峰隆生だ」と思ったが、誰に言ってもわからないと思ったのでバイト仲間には言わなかった。
ニッポン放送の「三宅裕司のヤングパラダイス」三宅裕司。番組は聴いてなかったんですが、人気コーナー「恐怖のヤッちゃん」の書籍化、映画化のビジュアルは中村幸子さんのイラストなのは知ってました。
高校生になって聴いてたラジオは「ケラのFMナイトストリート」。この番組にゲストに来たことをきっかけにエンケン(遠藤賢司)さんの大ファンになったことは前にも書いた。ケラはナゴムレコードというインディーズレーベルの社長さんでもあって、そこから出ていた筋肉少女帯や人生やたまのレコードを買って聴いていた。大槻ケンヂの「オールナイトニッポン」の投稿者のラジオネーム「こずえのまたしゃぶろう」って名前がくだらなすぎて未だに覚えてる。風の又三郎の下ネタね。
TBSラジオ「コサキンDEワァオ!」の関根勤と小堺一機。7月、ある仏教研究者の方と銀座の居酒屋で飲んでいたら、僕がトイレに行っている間に、その先生と居酒屋の店員さんがコサキンの話で盛り上がっていました。
大学に入ったら、ラジオは全然聴かなくなった。再び聴きだしたのは30代半ば。「大沢悠里のゆうゆうワイド」と「ストリーム」を中心に前後の番組を聴いていた。つまりTBSラジオばかり。未だにダイヤルを指で回してチューニングするタイプのラジオで聞いているので、局を変えるのがちょっとめんどくさい。「大沢悠里のゆうゆうワイド」という超・長寿番組の中に、毒蝮三太夫と永六輔と小沢昭一のコーナーがあった。未来永劫続くのではないかと思ったが、やはりそういうわけにもいかない。
小西克哉の「ストリーム」は雑誌みたいなラジオで「コラムの花道」という日替わりコメンテーターによるコーナーがあったが、雑誌が面白い条件もまた、コラムが面白いことだと思う。雑誌とラジオは似てる。
J-WAVE「TOKYO HOT 100」のクリス・ペプラー。若い時の写真が見つからず、ヒゲを無くしてみただけ。
眠れない夜は、睡眠導入剤の成分が入っている「ラジオ深夜便」にチューニングをあわせる。寝入った数時間後、やかましい音楽に起された。その日はレッド・ツェッペリン特集をやっていた。ラジオ深夜便のリスナー世代を考えると不思議ではない。
大相撲中継は北の富士勝昭のファンなので、北の富士がラジオ解説の時は、テレビのボリュームを消して、ラジオの音でテレビ観戦をしたりする。
やはり文章を書く時はラジオは聴けないので、「伊集院光とらじおと」を消してブログを書いてました。さ、今からはラジオをつけてイラスト仕事をしよう。
「2751人に聞いた!好きなラジオ番組」という日経トレンディのアンケートで1位に輝いたのが「オードリーのオールナイトニッポン」。コーナーが違うので少しタッチを変えて。