2019.12.3
月刊「シナリオ」リニューアル!
月刊「シナリオ」がリニューアル!
光栄なことにリニューアル号の表紙を担当しました。さらに、中身の方でも「ぼくの映画館は家から5分」という絵入りエッセイも連載させていただくという、コレまた、専門誌になんでオマエが連載もてるねん?と自分でも不思議に思うようなことが起こっております。
月刊「シナリオ」の創刊は1946年(昭和21年)、「極東国際軍事裁判」が開かれた年ですよ。闇市をバックに「リンゴの唄」が流れている……映像でしか見たことありませんが、そんな昔からある雑誌なんですね。日本シナリオ作家協会の発行です。
「シナリオ」1月号は12月3日発売!
表紙のアゴの長いおじさんは山中貞雄監督です。
おじさんといっても28歳で亡くなっているんですけどね。「シナリオ」が創刊された時にはすでにこの世にいませんでした。現存する3本の映画『丹下左膳余話 百萬両の壺』『河内山宗俊』『人情紙風船』のどれもが大傑作です。どんだけ天才だったか。
でも、『人情紙風船』が完成した時に赤紙が来て戦地へ。赤痢にかかって中国で戦病死。人の命はみな尊いけれど、なぜ戦争なんかで死ななくっちゃいけなかったのか、惜しい、惜しい!監督であります。
リニューアル号では山中貞雄の発掘シナリオ『恋と十手と巾着切』が載っています。必読!
『恋と十手と巾着切』は無声映画です。無声映画の脚本はどう違うのでしょう。興味ありませんか?
2000年、千石にあった「三百人劇場」で『丹下左膳余話 百萬両の壺』を観た。
ぼくがはじめて観た山中貞雄映画。たぶんニュープリント上映だったと思う。観客のテンションも高くて、笑うときは波に持ち上げられるように自然に声が出てしまった。上映が終わるとワッと拍手!熱気ムンムン。面白い!面白い!っていうかこれは新しい映画じゃん。
ぼくは時代物を描くのを一応売り物にしているんですけど、マニアックに時代劇を見てるわけでは全然ないんです。でもぼくを時代物へと誘った作品が3本ありまして、そのうちの一本が間違いなく『丹下左膳余話 百萬両の壺』です。他の2本は市川崑『股旅』とテレビドラマの山崎努主演の『雲霧仁左衛門』。
それは置いといて、老舗雑誌のリニューアル号だから、気合を入れて4パターンの絵を描きました。
ラフなしのいきなり本番。ちなみに表紙と自分の連載以外にもいくつか絵を描いていますが、みんなラフは出していません。ラフはいらないって言ってくれるから。申し遅れましたが、リニューアル号からデザイナーは日下潤一さん。日下さんは表紙のために描いた4点の絵の中から選んでデザインしたわけじゃなくて、4点全部に合わせてデザインしてくれた。なかなかないですよ、そんなこと。
似顔絵的にはこっちの方が似てると思うアナザーバージョン。日下さんが絵に合わせて全部違うデザインをしてくれたうちの1つ。
表紙用の絵のアナザーバージョン。
専門誌の中で唯一の非専門家が書いてる連載「ぼくの映画館は家から5分」
ぼくの絵と文の連載「ぼくの映画館は家から5分」は、編集長から「今までのシナリオにはなかったノリ」というお言葉をいただきましたが、そりゃそうするしかないっていうか、シナリオの専門誌で、素人のオレが出来ることと言ったら、違うノリでやるしかないっすよ……。
絵は映画をがっつり描いてますが(今月は『魂のゆくえ』)文章の内容は歩いて家から5分の下高井戸シネマ界隈のどうでもいい話だけでやっていこうと思っています。
他に「3人3色diary」「それをいっちゃあ、おしまいよ」にもカットを描いています。
「3人3色diary」今月は伴一彦さん。ロシアの劇団が全編手話でやった『三人姉妹』を観劇した、というところから手話の絵。
戸田学さんの「それをいっちゃあ、おしまいよ」今月は『夫婦善哉』です。
表紙は毎号ぼくが担当するわけではなくて、いろんな人が描くと思います。写真の時もあるのかな?また表紙でお会いしたいものです。
追記
本日12月3日、午後9時30分~午後9時55分
Eテレで「趣味どきっ! 神社めぐり・新」(全8回)が放送されます。去年に引き続きアニメパートの絵を描いてます。こっちもヨロシクね!
ヤマトタケルが草薙の剣で火を払う場面。
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