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2020.1.7
和田誠さんの俳句
新年あけましておめでとうございマウス。
もう1月7日ですが、このブログは火曜に更新と心に固く決めているので、挨拶をお待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。
えーっと、まず業務連絡からです。
成人の日の前夜、「オトナの一休さん」が全26則一挙再放送されます。
1月12日午前0時30分~ 午前2時40分(※11日の深夜ってことね)
5分間アニメなので、週一回放送してた時は、つけたときにたまたまやってる確率がものすごく低かったわけですが、2時間10分もぶっ続けでやったら一休さんと触れ合う方々も増えるはず。特に新成人の皆さんはこの番組を見て、本当にカッコいい大人になりましょう。13日は成人の日だからね!ィヨロシク!
続きまして、年末に発売された「ユリイカ」の和田誠さん特集に作文を書いたご報告です。
「イラストレーターという職業」というお題で頼まれたのですが、
〈南伸坊さんの『私のイラストレーション史』という文字どおり私的な語り口から見事にイラストレーションとイラストレーターを歴史的に描いたご本を出発点に、南さんにもほとんど決定的な影響を与えている和田誠さんを改めて経由しながらイラストレーターという職業をいま考える、捉えるための鍵はどこにあるのかをお書きいただければ幸いに存じます〉
という依頼文を読んで、「無理無理っ」て断ろうかと思ったんですが、一晩考えて、断ってはいけない仕事のような気がして書くことにしました。大変に荷が重い、そして気が重い作文です。この重さは和田さんと肩書きを同じくするイラストレーターならわかってくれるでしょう。
ユリイカは羽良多平吉さんのデザインだが、和田さん関連の書籍として見ると妙にソワソワする組み合わせ
そう、肩書きを同じくするイラストレーターだから書けること、書くべきこと。その荷が重い。だって、実際のところ和田さんみたいにカッコ良くないんすから。いまのイラストレーターの立場を考えてごらんなさいよ。低いよ〜っ。自分たちで低く見積もっているようなところもあるしね。
和田誠さんとは、南伸坊さん世代のような出会い方はしていないと思います。僕も『私のイラストレーション史』を読んでエポックメイキングな時代を、臨場感を持って知ることが出来ました。和田さんの偉大さ、忘れちゃいけないこと、を知るには『私のイラストレーション史』を読むといいです。
僕らはもう当たり前に和田さんの絵が日常にあったし、正直に言っちゃえば、和田誠さんの絵って高校生あたりの自分にとってはちょっと物足りなく思っていました。スタンダードナンバーみたいな感じで。これは僕に限ったことではなくて同じ世代は割とそういう感じあるんじゃないですかね。
でも、イラストレーターを志すようになると、ほとんどの人が和田誠さんのすごさに気付きはじめる。ミスター落語が古今亭志ん生であるように、ミスタープロ野球が長嶋茂雄であるように、ミスターイラストレーターは和田誠さんでしょう。これが本当の意味で和田誠さんに出会うということですね。イラストレーションて何なのかわかりかけてくればくるほど和田誠さんってスゲェって思うんですよ。
「イラストレーターという職業」というお題に答える作文になっているかどうかわかりませんが、自分の経験を基にして書くと……まあ、いつも喋ってるようなことしか書いてないんですが……調べて書いたりする文章にはしたくなかったんで、こうなっちゃいました、という感じなんですが、よかったら読んでください。やっぱり、追悼特集は実際に親交のあった方々の気持ちのこもった文章がいいですね。
次は今年の抱負といきますか。
すでに「蛾白」という俳号も持っている私ですが、句作の方はまだでして、なかなかスターとを切っておりません。
だいたい俳句に特に強い興味を持っていたわけでもなく、何となくの行きがかりで高山れおな宗匠に俳号を決めてもらっただけなんです。でも、イラストレーターの先輩たちってかつては句会とかやってて、みんな結構上手いんですよね。イラストレーションもある意味、省略の妙がモノをいう表現とも言えますしね。俳句ねぇ、やってみよっかなぁ。
やっぱりさ、絵と同じで「この人の作る俳句が好き」っていうのが最初にあるといいんじゃないかな。うまいなぁ、さすがだなぁ、と思う俳句はいくつもあるけど、自分がこういうの作りたいかというとちょっと違う。作れそうにないし。
カッコつけたいわけでもなく、うまいとこみせたいわけでもなく、面白いこと言いたい、っていうのは、絵に関してはまさにそうなんですが、俳句もそれをとっかかりにすればいいでしょうか。おかしみのある俳句が好きですね。自分にも作れるかな?と勘違いさせてくれるから。
いや、俳句自体がもともとおかしみのある文芸だったんでしょう。
ところで「ユリイカ」の和田誠さん特集には笹公人さんの「和田誠さんと連句」というエッセイが載っているのですが、和田さんの作る俳句、すんごく面白いんですよね〜。
6歳の時の処女作がこれ。
フミキリノマエニナランダネギバウズ
絵が浮かぶ。〈幼少期、和田誠さんは、月に一度、親戚一同で誌上句会を開いて小冊子までつくるという文化な環境で育ったのだそうです〉らしいんすけど、そんなこと知るとやっぱり俳句やめとこうかなと思っちゃう。でも和田さんの句集『白い嘘』に載ってる句を読んでると作りたくなっちゃうなぁ。
『連句遊戯』白泉社/『句集 白い嘘』梧葉出版
ムー大陸行きの切符や四月馬鹿
マンモスを閉ざして氷河静かなり
ひとだまの明るさのもと月見草
狼の舌の長さよ涸れ泉
ポチたちの骨覆ひたるうまごやし
喧嘩ひとつ負け越したまま卒業す
あぁ、面白いな〜。
黴くさき福助笑ふ老舗かな
独身寮ひとりにひとつ西日射す
蚊柱の路地に声あり王手飛車
曇天に灯りて優し烏瓜
灰色の遠近法や冬木立
波と寄せ波と引きけり櫻貝
ぶらんこの上には芝生下は空
あぁ、絵が浮かぶな〜。